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秘密と相続と法のはざまで
内容の深刻度に差はあれど、人にいえない秘密は誰にでもあるものです。しかし今回の事例では、もし夏美さんが夫より先に亡くなっていたとしたら、事態はさらに複雑になっていたでしょう。なぜなら、遺産分割の話し合いの場で、隠していた息子の存在が夫に知られてしまう可能性があったからです。
民法上、婚姻中に産まれた子でなくても、認知された子や実子であれば相続権は発生します。家族が知らないまま相続手続きを進めてしまうと、子どもの存在を知らぬまま夫や義母が相続手続きを進めてしまい、後にトラブルになってしまうという可能性も考えられました。
「夫にすら話していない子どもの存在を、いまさらどう説明すればいいのか」と思うことでしょうが、秘密を抱えたまま亡くなってしまった場合にはのちに余計なトラブルを招いてしまうことにもなります。
秘密のままにしていたほうがすべてが丸く収まることもあるでしょう。しかし、法的なルールによるリスクを鑑みれば、結婚前にしっかり打ち明けて考え得る問題に対処したほうがよかったと考えられます。特に今回の場合は理解してくれそうな夫、義母であったのでなおさらです。
こうした問題は、家族間の人間関係だけではなく、法的・金銭的な観点で起き得る可能性を専門家に相談しながら考慮し、家族に話すべきかどうかを判断してもよいでしょう。
自分の死後の影響を考える
結婚前に子どもを授かり、養子に出したという経験を持つ人は、日本でも少数ではありますが存在します。その背景を厚生労働省の『人口動態統計』でみてみると、昭和50年代から60年代(1975~1989年)にかけて、非嫡出子(婚外子)の出生数は年間おおむね1万人台で推移しており、これは当時の全出生数の約1%前後にあたります。
このようななか、さまざまな事情から子どもを育てられない親が、特別養子縁組制度などによって子どもを新しい家庭へ託すという選択をすることがありました。このとき、法的には「養子縁組届」が提出されることで、法律上の親子関係が成立します。
こうした背景を持つ人が、将来の相続や介護、老後資金の問題に直面したとき、自分の“過去”が影響する場面も珍しくありません。
自分の人生の選択を否定する必要はありませんが、「いつか伝えるべきことはあるのか」「残された人にとって最善の選択はなにか」をみつめなおす機会は重要です。もしも同じような事情を抱える人がいれば、まずは信頼できる弁護士などの専門家や、FPなど気軽に相談できる相談窓口の立場の人に一度相談してみるのも選択肢の一つでしょう。
お金や相続のトラブルは、秘密のままでは済まされないケースもあります。だからこそ、生きているうちに「準備」しておくことが、残される家族に対しての最後の“思いやり”になるのかもしれません。
小川 洋平
FP相談ねっと
ファイナンシャルプランナー
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