実は、アメリカの経済成長は珍しいケース
佐藤:アメリカは1980年頃まで日本より成長率が低かったのに、90年代以降また高成長に戻ったと聞いたことがあるんですが、なんでそんなことが起きたんですか?
井堀:それが新しい経済成長という珍しいケースだよ。先進国で一度落ちた成長率を再び上げるのは難しいけど、アメリカはIT革命によって経済活性化が進んだんだ。PCやネット関連の技術革新と新興企業の台頭が大きかったね。
佐藤:アマゾン、メタ(旧フェイスブック)、グーグル、アップル、マイクロソフトとか……ああいうIT企業が一気に伸びたんですかね?
井堀:そう。まず金融の規制緩和で魅力ある金融商品を開発。世界中から資金を集めて、ネットを駆使した新しいビジネスを急拡大させる土台を作った。アマゾンやグーグルなどが世界市場で巨大ビジネスを展開しているのは、IT革新と豊富な投資資金、さらに有能な人材が集中したおかげだね。スマホやタブレット、クラウドといった新たな技術やサービス分野がどんどん生まれていった。
佐藤:たしかに、ITの世界って競争が激しいぶん、新しいイノベーションが生まれやすいんでしょうか。最近だとAI関連も盛り上がっていますよね。
井堀:うん。AIの登場でさらに新規市場が生まれ、そこに世界中の投資や人材が集まってくる。アメリカは元々、資金や人材が集まりやすい環境を整備してきた。だから一度落ち込んだ成長率を引き上げることに成功したんだよ。
少子高齢化は経済にとってマイナス?
佐藤:最近、どの先進国でも少子高齢化が話題ですが、やっぱり経済成長にはマイナスなんですか?
井堀:うん、一般的にはそう考えられている。人口減少で若い人の比率が下がると、需要面でも消費が伸びにくくなるし、供給面でも労働人口が減ってしまう。結果的に経済全体の成長を下押しする要因になる。
佐藤:日本や韓国、中国は特に少子高齢化が速いですよね。だから経済成長のマイナス要因も大きいと……。
井堀:そうそう。若い人がどんどん減って、社会の活力や労働力が縮小していく。それに加えて医療費や年金の負担が増すわけだから、成長を阻害する要因がいくつも重なってくるんだ。
佐藤:逆にアフリカ諸国なんかは人口が増えて若い人も多いって聞きますよね。そこに成長のチャンスがあるんでしょうか?
井堀:成長する可能性は高いだろうね。けど、多くのアフリカ諸国は政治や法秩序が不安定だったり、人種・宗教抗争など地政学リスクが大きいから、一筋縄ではいかない。それでも潜在的な成長力は高いね。
井堀利宏
東京大学名誉教授
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