社会経験のない子どもに財産を渡すリスク
――ずっと実家にいて社会経験がない子どもが親の財産を受け継いだ場合、その後の管理は大丈夫なのでしょうか。
人によりますが、詐欺被害に遭ってしまうケースも実際にあります。たとえば、精神疾患があり離婚して実家に戻った男性が、親から受け取った3,000万円を詐欺で全額失ってしまった事例もありました。LINEでやりとしていた女性から「お金を貸して」と頼まれ、信用してしまったのです。
他のきょうだいは、こうした金銭トラブルの後始末までは面倒見きれませんよね。お金を失い、最終的には生活保護などに頼らざるを得ないという話も珍しくありません。
「親の面倒を見てくれる子にすべての資産を渡す」という判断が、結果的にこうした問題を招いてしまうことも。正解はありませんが、慎重に考える必要があります。
――相続などのトラブルにならないよう、家族同士で早めに話し合っておくことが大切だとよく聞きます。ですが、親やきょうだいとお金の話をしづらい面もありますよね。
たしかに、親にお金のことなんて聞いたら怒られるというケースも多いですよね。なので、家族がそろうタイミングで、少しずつ話をするのが効果的です。「友人の親が亡くなって、手続きで困ったらしいよ」など、お金の話ではなく手続きの大変さから入るのも一つの手です。
片方の親が家計を管理している場合、その人が亡くなると、もう一方が何も分からないということも多々あります。銀行口座の存在や金額さえ不明なケースも。理想的にはエンディングノートに資産情報をまとめておくことですが、実際にはハードルが高めです。だからこそ、日頃からのコミュニケーションが重要です。
年に1回しか帰ってこない子どもには、本音を話せない親も多いもの。だからこそ、頻繁に顔を出し、食事の席などリラックスした雰囲気の中で健康や暮らしのこととともに、資産についても少しずつ把握していく。一気に話そうとするのではなく、時間をかける姿勢が大切です。
若杉 恵
ファイナンシャル・プランナー/公認心理師/終活アドバイザー
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