住宅販売数、NZ全体では26.4%ダウンも、オークランドは好調
ニュージーランドでは各物件に市役所評価額というものが設定されています。今回発表された新評価額によると、一般居住物件は概ね下落しました。
売り手となる家主は、これまで上昇傾向にあった不動産価格が下がったことにがっかりしていますが、マイホームの購入希望者には追い風となり、3ベッドルームから4ベッドルームに変更したり、よりよい立地に変更したりと、希望内容もグレードアップしています。
数値的には、NZ全体では2024年度と比べて26.4%ダウンの販売数となり、価格も0.7%下がっています。
とはいえ地域差も見られます。オークランド地域は、過去4年の6月から8月の冬の時期において、この6月はベストな販売数が出たとの発表がありました。約30年前、不動産売買は「冬にダウン、春・夏が繁忙期」といわれていましたが、不動産ブームとなった2000年初期から2018年後半までは、季節に関係なく、地元住民や海外投資家で市場がにぎわいました。
コロナ禍も初期は忙しく、人々の財布の紐が固くなったのは政府補助金支給が終わったあたりからです。その後不景気となり、銀行住宅ローンの特別レートが終了して通常レートへ戻ってからは、「冬眠期間」へと移行していきました。
一時期、金利が6~7%へ移行したときは大変でしたが、徐々に下がって現在は4.95%前後と5%を切りました。その影響もあり、住宅購入ムードが盛り上がりつつあります。
現状に課題はあるも、粘り強く向き合う人に商機
筆者は仕事柄、通りを歩いていても、つい「売り物件」の看板に目が行ってしまいます。早々に「SOLD」のステッカーが貼られると「おお!」と感激する一方で、いつまでも売れないと、他人事ながら非常に気がかりです。
自身を振り返っても、販売リストの物件が1ヵ月経過しても売れないのは大変なプレッシャーです。家主様との売却契約は3ヵ月ですから、その期間内に売り切るべく、営業強化をして必死で励みます。
それでも、期待額で売れていない、物件になにかしらの課題があって売れない…といった残念なことも起こります。3ヵ月経過してもだめなら、いまの売却をあきらめてクリスマス前に再販売するか、それともいっそ賃貸へ運営を転換するか…。
日々目にする通り沿いの売り物件の事情はわかりませんが、1ヵ月後の「SOLD」の文字を見ると、担当セールスマンの焦りと安堵が、筆者にも伝わってくるようです。
粘れるだけ粘って結果を出す、というのが、NZ流の不動産売買だと思います。
マーケットデータ、景気、そして世界情勢と、さまざまな心配・懸念がある現状ですが、これまでのトレンドを見る限り、NZ不動産売買の展望は明るいと感じています。売り手と買い手の立ち位置はそれぞれ異なるものの、いずれの立場にあっても、マーケットの状況を読み、危機管理を行う人が、チャンスを掴めるのだといえるでしょう。
一色 良子
Goo Property NZ LTD 代表取締役社長
Arizto Ltd 所属
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