「潰された」節税スキーム
◆「足場」「ドローン」による節税も、封じ込められた
税務署がマジックのような節税を認めていない事例は、生命保険だけではありません。ほかにも潰されたスキームはあります。
たとえば、「足場」や「ドローン」による節税が潰されたことを、ご存じの社長は多いのかもしれません。
「足場」というのは、その名の通り、工事現場で使う足場です。足場は小さなパーツの組み合わせでできていますが、1つひとつなら10万円未満なので消耗品の扱いになるのです。
つまり、全体で3,000万円の足場であっても、すべて損金で落とすことができるわけです。
具体的なスキームは、まずは自社で消耗品として購入した足場を、自社以外の会社に貸し出します。
一方で会社の定款を変更し、リース業を営むことにしながら、足場を貸し出した他社からリース料を得ることで、課税の繰り延べをはかるのです。
ドローンリースも、これと同じようなスキームです。
そしてこの節税スキームは、多くの人が利用するようになったこともあり、令和4年度の税制改正で封じ込められてしまいました。
◆「イタチごっこ」をやめて、「儲かる会社」になろう
足場やドローンは、生命保険をつかった節税ができなくなって、日の目を見たスキームです。
生命保険による節税や個人への資産移転ができた頃は、契約してから数年経って、解約返戻金がピークを迎えたところで解約し、収入として会社に入ってきます。
このときに社長が退職すればいいのですが、結果的に退職することは少ないので、会社はこのような保険を繰り返し、課税の繰り延べを延々と行ってきました。
そして、保険のスキームが潰されたことで、足場やドローンで課税の繰り延べが行われたわけです。
税務署の言うことだけを聞いていなくてもいいのですが、思想は知っておくべきです。
必要以上に節税スキームを取り入れなくてもいいのではないでしょうか。
「これがダメになったら、こんな方法もある」
といったイタチごっこを繰り返すのは、いかがなものでしょう? そもそも課税の繰り延べなので、税金が消えてしまうわけではありません。
利益を出して、手残りがどれだけ増えるかを考えるのが、健全な会社のあり方とも言えます。
事業承継の観点でも、お子様に残したい会社はどんな会社でしょうか?
どうせ残すなら、「いい会社」を残したいのですよね。
ただ売上が大きければ「いい会社」というわけではありません。
ひと言で言えば「儲かる会社」です。
節税などで数字をいじることで、儲かっているのか、いないのかがわかりにくい会社を譲られても、受け継いだお子様が困ってしまうかもしれません。
きちんとした経営をしている会社を引き継いだほうが、お子様としてはありがたいはず。
借入が大きな会社や、数字をいろいろ調整しすぎてしまって何が何だかわからない会社を引き継げと言われても、適正な状態にするのはラクではありませんね。
中身がわかりやすく、さまざまなメドが立てやすい状態のほうが、引き継ぐ価値がある会社と思ってもらえることを、認識しておきましょう。
清野 宏之
税理士・行政書士、清野宏之税理士事務所所長
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