2,800万円の老後資金で「なんとかやっていける」はずが……
「これだけのお金があれば、老後も何とかなるだろう」……退職時にはそう思っていたと、Aさん(69歳)は振り返ります。
60歳で退職金1,500万円を受け取ったAさん。住宅ローンを完済しても、貯金の残りと合わせて手元には約2,800万円の老後資金がありました。
「いわゆる“老後資産2,000万円問題”のラインは超えている。これだけあれば夫婦ふたり困ることなくやっていける」と考えていたといいます。
しかも、60歳~65歳までは継続雇用で働くことが決まっていました。年収は680万円から450万円とガクッと減るものの、その収入で生活費はカバーできます。
実際、老後に向けては様々な出費が発生しました。例えば、老後のために必要だと判断した、家の外壁工事や給湯器の交換、古くなった車の買い替えなど。こうした家と車関連の費用で、100万円単位でお金が消えていきました。
確かにこれらの負担は軽くはありませんでした。しかし、「いつかは必ず使うことになるお金」として、Aさんの中では織り込み済みでした。
ところが、Aさんの老後資金はどんどん減っていくことになります。それは、老後計画に入れていなかった支出だったのです。
