あと5年働きたかったのに…まさかの通達に愕然
それは、営業とは無縁の「閑職」への異動。長年の経験を活かす場もなく、誰が見ても「社内左遷」とわかる人事でした。
驚いたAさんは、怒りの口調で人事に理由を問いましたが、「キャリアや部署のバランスを考慮した結果」との曖昧な説明しか返ってきません。しかし後日、かつての上司であり今は別会社に再就職している先輩との飲み会で、思わぬ真実を聞かされることに。
「お前、社内の評判が悪すぎるんだよ。仕事はできる。でも若手や女性社員からは、威圧的、怖い、意地が悪いって声が多くてな……。これまで何度か態度をなんとかしろって言っただろ? 時代が変われば、部下が上司になる。お前は上から見ると悪いやつじゃない。でも下から見れば、絶対に残したくない人材だったってことだよ」
Aさんは言葉を失いました。自分の態度をきちんと客観視できていなかったのです。
「仕事ができれば、それでいい」
「これが自分のスタイルだから」
そんな言い訳に逃げ続けた結果でした。しかし、この状況にあってもプライドを捨てきれず、「あんな部門で働くくらいなら」とAさんは継続雇用を断念。60歳で静かに会社を去ることに。
その後、再就職先を探すも年齢や人脈の壁は厚く、なかなか決まらず。退職金は3,000万円、それ以外の貯金が1,400万円と金銭的な不安はないものの、生きがいもなく毎日ただ家にいて、テレビを眺めるだけ。妻は、それを避けるようにパートを週5日に増やしました。
「こんなはずじゃなかった……」
この結果は自業自得。そう反省しても、時は戻りません。
