ジュエリーとアクセサリーの違いとは?
ガラスの箱にしまってある美しい石も宝石に違いありませんが、身に着けて美しさを楽しむことができるように仕立てたものが、真の宝石だと言えます。鉱物(Mineral)が磨かれて宝石となり、それが仕立てられたものが宝石の装身具です。
宝石の装身具の中でも品質が高いものはジュエル(Jewel)と呼ばれて大切にされてきました。非常時に宝石を着けて避難し、お金に換えて、新たな土地で生活を始めるために役立てた話は語り継がれています。
装身具には同じように見えて、まったく異なる三つのものがあります。
宝石の装身具は宝石の美しさを引き出したもので、何回も何回も身に着けられて、次の世代に受け継がれてゆくものです。
貴金属の装身具はK18(18金)やプラチナ(Pt950など)で形を作って、トレンドで販売されているものです。流行が廃れてしまうと結局は溶かされて作り替えられます。素材を問わない装身具はコスチュームジュエリーで、アートの価値があるものは別として、いらなくなると捨てられてしまいます。
宝石をいかに美しく見せるか…構想がすべてを決める
「永く身に着けられるジュエリー」には、価格の高低に関係なく2つのポイントがあります。1つめは宝石が生かされているか、2つめは丁寧な仕立てがなされているかです。
以下のプラチナとダイヤモンドのパヴェセッティングの指輪の輝きは、非常に強く美しいものです。なぜなら可能な限り大粒のダイヤモンドを選んでセッティングしているからです。そのうえ、1粒1粒はクラウンの高い分散光の強いダイヤモンドです。
ラウンドブリリアントカットダイヤモンドは大粒のものが強く輝き、サイズが小さくなると輝きが弱まります。同じ面積のところにダイヤモンドを敷きつめるなら、可能な限り大粒のダイヤモンドで調和を取ることが美しいジュエリーの条件です。
小粒のルビーをセットするときは以下の指輪のように淡めの赤が美しく、濃いものは小粒ではモザイク模様を失って美しくありません。
宝石の大好きなイタリアのマダムがジュエリーを選ぶときは、「必ず裏から見て」裏取り(Ajour:アジュール)を確認するそうです。宝石の装身具の出来映えは表側より裏側に鍵があるからです。
裏取りには、可能な限り光を取り込み宝石を美しく見せること、繊細に仕上げかつ強度を上げること、湿気による曇りを早く乾燥させることの3つの効果があります。
しかし、丁寧な裏取りには表側の仕上げの何倍もの時間を要します。コスト優先の作り手にはできないことなのです。丁寧な裏取りは、受け継ぐ人にも喜ばれ、再流通の価値に大きく影響を与えます。
ジュエリーは貴金属の部分が長年の間に変色したり、曲がったりすることは避けられません。しかし、修復することは可能です。宝石店に相談にのってもらいましょう。
現在は技術が進歩して、複雑な加工が容易になりました。それは作業の効率化に役立つでしょうが、一つ一つの宝石の特徴を理解して、構想を練ることが大切です。昔も今もこれからも、基本は変わらないと思います。