スタッフを1人増やすだけで397万円もらえる給付金
助成金は企業だけのものではありません。個人事業主でも活用できます。ここでは、主に従業員を雇用した際に利用可能な助成金に焦点をあてます。特に初めて従業員を雇用する場合のポイントや、助成金を効果的に申請するためのステップを紹介します。
STEP1.パート従業員雇用で業務改善助成金
初めて従業員を雇用する場合、週に2~3日、1日2~3時間の短時間勤務にすることをお勧めします。このような働き方は負担がなく、業務改善助成金の条件に合致しやすくなるからです。業務改善助成金は先に説明した通り、時間効率や生産性向上を目的とした設備投資に使える助成金で、1人の雇用で設備投資費用の4分の3が補助され、上限額は170万円です(60頁参照)。パート従業員を最低賃金で雇用し、雇用から6か月後に時給を90円引き上げることで申請できます。
たとえば、ベーカリーを営む個人事業主が、自動生地こね機や業務用オーブン、POSレジ、クレジット決済システムなどを導入した場合、これらの機器購入費用の4分の3が助成金で補助されるため、大幅なコスト削減が可能になります。
STEP2.雇用保険加入と昇給でキャリアアップ助成金
次のステップとして、パート従業員の勤務時間を週20時間以上に調整し、雇用保険の加入を目指します。これにより、キャリアアップ助成金の「賃金規定等改定コース」が利用可能になります。
この助成金では、従業員の時給を6%昇給すると7万円、5%昇給すると6万5千円、3%昇給すると4万円が支給されます。たとえば、時給1000円の従業員を5%昇給させた場合、時給は1050円となり、この昇給によって助成金が受給できる仕組みです。
STEP3.正社員化と研修の活用
従業員を初めて正社員化する際には、業務関連の研修を実施することで、さらに助成金を得ることが可能です。研修時間は最低10時間が必要で、その内容は業務に関連していれば問題ありません。正社員化に際して給与を5%昇給させることで、100万円の助成金を受け取ることができます。また、研修費用は全額補助されるため、事業主にとっては大きなメリットとなります。
たとえば、パート従業員が正社員化前に必要なスキルを研修で習得した後、給与を5%昇給させることで、100万円の助成金を受け取ることができるのです。このように、雇用に計画的に研修を取り入れることで、助成金を効果的に活用できます。
STEP4.育児・介護休業に関する助成金
正社員となった従業員が育児休業や介護休業を取得し、その後復帰した場合、さらに助成金を得ることができます。育児休業を取得すると、休業時と復帰時にそれぞれ30万円が支給され、合計60万円を受け取ることが可能です。また、介護休業では、連続15日以上の取得と復帰で同様に30万円ずつ支給され、合計60万円となります。
たとえば、従業員が育児休業を1年間取得後に復帰した場合、事業主は60万円の助成金を受け取ることができます。同様に、介護休業を連続5日間取得後に復帰した場合は、40万円の助成金を受給できます。このように、従業員のライフステージに応じた支援が事業主にも利益をもたらします。
このように計画的に従業員を育成し、各種助成金を活用することで、約400万円の助成金を受給できます。
これらの助成金を最大限活用するためには、従業員の雇用形態や働き方、研修プランをしっかりと計画し、条件を満たすことが重要です。また、助成金は利用者が申請しなければ受給できないため、情報収集と適切な準備が不可欠です。本書で紹介した方法を参考に、事業の発展と安定を目指しましょう。
藤井 貴子
ノエル社会保険労務士事務所
代表
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