ゴールドオンライン新書最新刊、Amazonにて好評発売中!
『司法書士が全部教える 「一人一法人」時代の会社の作り方【基本編】』
加陽麻里布(著)+ゴールドオンライン (編集)
『富裕層が知っておきたい世界の税制【カリブ海、欧州編】』
矢内一好 (著)+ゴールドオンライン (編集)
『司法書士が全部教える 「一人一法人」時代の会社の作り方【実践編】』
加陽麻里布(著)+ゴールドオンライン (編集)
シリーズ既刊本も好評発売中 → 紹介ページはコチラ!
政府に睨まれ、日本に「潤」してきた著名作家
そんな賈氏はコロナ禍の中で日本へ「潤」してきた。中国へ戻るつもりはないのだと言う。神社の境内を歩いていると、彼は石碑が目に入るたびに何が書かれているかチェックし解読を試みていた。さすが好奇心が強い知識人だなと思った。彼の日本語も少しずつではあるが板についてきた。だが、このときはまだ、中国人インテリが東京で大集結しつつあるとは私はまだ想像もしていなかった。
賈氏はテンセント傘下のメディア「大家(ダージア)」を立ち上げ、北京・香港での生活をまとめた随筆集『我的双城記』(私の二都記)など複数の著作がある。今では東京大学教養学部の客員研究員を務める。2016年には、習近平国家主席の辞任を求める公開状に関連してか、北京から香港へ飛び立とうとしたときに当局に連行され、10日間にわたって消息を絶ったこともあった。
そんな彼の話をじっくりと聞きたく、ある日、私は日本橋の百貨店内にある落ち着いたカフェに呼び出した。白髪の少し目立ちはじめた彼は普段着の知識人という感じで、今日もバックパックを背負ってやってきた。質問すると、「滔滔不絶(タオタオブジゥエ)」(饒舌に)で前のめりになって答えてくれる。
──「早発早移(ザオファーザオイー)」(早く稼いで早く移民する)という言葉を以前から唱えてましたよね? あれはいつごろからで、どのような背景があったんですか?
賈氏が最初にこの言葉を使い出したのは2010年ごろ。2008年のオリンピック以降、セキュリティチェックや自家用車の運転規制が始まり、北京での生活が面倒になってきたことに端を発するという。
純粋に生活の快適さ、幸福感、子供の教育など、あらゆる面で……。
──公共サービスのことですね?
そうそう、海外のほうがいいに決まっているじゃないですか。移民どうこうの主張、これは正常な国ではオープンに討論すべきでない、家庭で決めることですよね。でも、なぜ中国ではオープンに議論できるんでしょうか? 私はおそらく移民という問題を最初に私的領域から公共の話にした第一人者ですよ。これはある種の(政府)批判の手段なんです。
そう、かつて中国で私は周りの人が移民について話すのをよく耳にした。今の中国では、移民自体がセンシティブな話題となっているようだ。いつしか私も「潤日」の人々に会うときはあえて「潤」という言葉は使わないようになった。相手がギョッとしてしまうからだ。
中国人の国外流出が鮮明になってきていることは国連の統計からはっきり読み取れる。
中国から流出する移民を中国へ流入する移民から引いた合計純移動数は1992年にマイナス87万3,177人の底値をつけた。当時は中国と先進国との経済ギャップが大きかったので、国内から海外へ就労目的の流出が相次いでいたのだ。多くの日本人にとっても、中国人といえば出稼ぎというイメージがいまだに強いのではないだろうか。
中国経済が世界第2位に躍り出た2010年から2年後、胡錦濤時代の最後の1年には、合計純移動数がマイナス12万4,641人まで縮小。これも経済大国となった中国で活躍の機会が増えたのだからわかりやすい。
舛友 雄大
中国・東南アジア専門ジャーナリスト
注目のセミナー情報
【海外不動産】12月18日(木)開催
【モンゴル不動産セミナー】
坪単価70万円は東南アジアの半額!!
世界屈指レアアース産出国の都心で600万円台から購入可能な新築マンション
【事業投資】12月20日(土)開催
東京・門前仲町、誰もが知る「超大手ホテルグループ」1階に出店!
飲食店の「プチオーナー」になる…初心者も参加可能な、飲食店経営ビジネスの新しいカタチとは?
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

