(※写真はイメージです/PIXTA)

「下流老人」「老後破産」…なんとも辛い言葉が増えてきた昨今。生活費、税金、社会保険料、そして将来への不安…、現役世代の多くが“見えない重荷”を背負っています。厚生労働省『令和6年 賃金構造基本統計調査』のデータとともに、「今の日本における生活の現実」を見つめ直します。

頑張っても「生活がどんどん味気なくなっていくんです」

36歳の佐藤さんが抱えるもう一つの悩みは、「老後の生活への不安」です。

 

厚生労働省の将来推計によると、2007年に生まれた子どもの半数が107歳まで生きる可能性があるとされています。「人生100年時代」と呼ばれる時代背景の中、現役世代の老後資金不安はますます強まっています。

 

「今は月に3万円ずつ貯金していますが、まとまった老後資金が貯まるのはずっと先の話。車の修理や医療費のような予期せぬ支出があれば、貯金はすぐに底をつきます」

 

生活のために削るのは、まず「娯楽費」。外食や旅行は控え、休日は自宅で過ごすことが増えました。

 

「無駄遣いはしていないつもりです。でもこうしてどんどん娯楽を削っていくと、生活がどんどん味気なくなっていくんです」

 

「今のままではいけない」と副業も検討していますが、本業の拘束時間やスキルの壁があり、現実的な選択肢が少ないのが実情です。

 

佐藤さんのように、収入は平均的でありながらも生活に余裕が持てない層は、今や少なくありません。

 

政府は新NISAやiDeCoなど、老後資金形成の仕組みを整えつつありますが、それらを活用できるのは「余剰資金」がある人だけ。日々の生活で手一杯な家庭には、制度の恩恵が届きにくいのが現実です。

 

「結局、自助努力だけでは限界があります。副業や投資も気になりますが、日々の暮らしを維持するだけで精一杯。社会全体の制度や支援がもっと必要だと感じます」

 

物価の上昇、手取りの減少、そして将来への漠然とした不安──。それでも日々の暮らしは続いていく。「平均的」な収入でも、安心して暮らせない社会の構造的課題が今、浮き彫りになっています。

 

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※本記事のインタビューではプライバシーを考慮し、一部内容を変更しています。

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