(写真はイメージです/PIXTA)

2025年2月および3月本決算企業について、トランプ大統領の関税政策により業績見通しの開示が難しくなると懸念されたが、実際には非開示企業は全体の約5%にとどまりました。見通しが開示されていること自体が市場に一定の安心感を与えたと考えられます。本稿では、ニッセイ基礎研究所の森下千鶴氏が、関税政策による企業の見直し姿勢について詳しく解説します。

関税政策による各国の見直し

2025年2月および3月本決算の発表が出そろった。当初は、トランプ米大統領による関税政策の影響により先行き不透明感が高まり、業績見通しを非開示とする企業の増加が懸念された。しかし、実際は非開示企業の割合は全体の約5%にとどまり、例年並みの水準に収まった。多くの企業が可能な範囲で業績見通しを開示する姿勢を示したといえる。

期待より懸念が先行したハネムーン期間

米国では、新大統領の就任直後は「ハネムーン期間」とも呼ばれるが今回のトランプ大統領の2期目は違った。1月の就任直後から関税の導入発表や発動が相次ぎ、株式市場は大きく揺れ動いた。結果として、期待よりも懸念が先行する「嵐のようなハネムーン期間」となった(図表1)。

 

出所:QUICKから作成
[図表1]トランプ政権の関税政策と日経平均株価推移 出所:QUICKから作成

 

それでもトランプ大統領の就任当初の日経平均株価は3万8,000円から4万円のレンジで比較的安定的に推移していた。しかし、3月下旬から4月上旬にかけて自動車関税や相互関税の発表が相次ぎ、一部の関税が発動されたことで貿易摩擦の懸念が一気に高まった。これを受けて、日経平均株価は4月7日に年初来安値となる3万1,137円まで下落した。その後は、相互関税の一部停止や英国・中国との緩和合意などを受けて市場心理が改善。日経平均株価は反発に転じ、5月23日時点では3万7,000円台まで回復している。

 

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2025年05月30日に公開したレポートを転載したものです。

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