離婚して生きていけるか? 弁護士に相談した結果
離婚を考えるほどに追い詰められた文子さん。しかし、ずっと専業主婦だった自分が一人で生きていけるのか……それを確かめるため、まずは弁護士に相談してみました。
弁護士からは、離婚には原則として双方の同意が必要なこと。そして、離婚が成立した場合には財産分与や年金分割が行われることを説明されました。
財産分与では、婚姻中に蓄えた預貯金や購入した不動産などが対象となり、原則として半分ずつに分けられます。さらに、文子さんは専業主婦であるため、夫の厚生年金の一部(2分の1)を受け取れる「3号分割制度」を請求できます。この請求に夫の同意は不要です。
現在の貯蓄額は2,000万円なので、財産分与によって半分の1,000万円を受け取れます。また、夫の厚生年金額の半分の月4万円ほどを受け取れるため、文子さんの年金受給額は、自分の月6万円と合わせて月に10万円ほどになります。
しかし、文子さんは働いていないため、自分自身の貯金はありません。そもそも「一緒にいるのが嫌だから」と言って夫が離婚に合意するとは思えませんでしたが、仮に合意したとしても、年金月10万円と1,000万円で困らずに生きていけるのか……。
また、家を出るとなれば新たな住居が必要。しかし、無職の状態では部屋を借りるのも容易ではありません。
きちんとした家に住み、生活に不安のない今の暮らしと秤にかけた結果、文子さんは心が離れていても夫と共に生きる道を選びました。
「あと10年、20年もこの生活が続くのか」そう後悔しないように
日本人の平均寿命は、男性が81歳、女性は87歳。文子さんは、あと10~20年、この生活が続く可能性があります。
また、子育てをする時間は、多くの場合20年あまり。子どもが巣立てば夫婦だけの生活が待っていますが、その大半が定年後の「老後の生活」です。
生涯夫婦で一緒にいることを考えるなら、老後の人生を楽しく過ごすためにも、将来に向けて早いうちから、老後の生活について話し合うことが大切です。
また、時間や体力が許す範囲でパートやアルバイトなどを行い、経済的に少しでも自立できるよう備えておくことで、「もしもの時は一人で生きていける」という選択肢を持つことができます。
定年後、夫との2人だけの長い暮らしが訪れたときに「こんな人生で終わるのか」と後悔しないよう、老後に自分が希望する暮らし方に備え、事前に気持ちの整理や経済的な準備を行うことが大切だといえるでしょう。
新井智美
トータルマネーコンサルタント
CFP®
注目のセミナー情報
【国内不動産】7月12日(土)開催
初期費用の最大95%が短期償却可能!
実質利回り15%前後のトランクルーム投資成功の秘訣とは?
【教育】7月13日(日)開催
医学部合格を諦めない、すべての受験生へ 京都医塾の夏休み“逆転合格”メソッド
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】