「家族の争い」を避けるために親が注意すべきことは?
無知:それにしても、家族の財産を勝手に使い込む人って、実際にいるんですね。
前田:はい、いますよ。最初はほんの出来心で、ちょっとだけお金を引き出すのです。それがやがて慣れっこになってしまい、数年後には親の財産のほとんどが使い込まれることもあります。
これが相続後には必ず発覚するので、大きなトラブルになってしまうのです。
国税:相続税調査で預金の動きを見られた結果、家族が使い込んでいたことが明らかになることもあります。いずれ家族でモメるのがわかりきっているのに、どうしてやってしまうんでしょうね。
前田:動機は人それぞれですが、よくあるのが、「私は親の介護をしているのだから、報酬としてお金をもらうべきだ」という考えです。
でもそれって法律的な根拠はなにもなく、いってみれば犯罪と同じなのです。親の介護を業者に任せたとして、その業者が勝手にお金を使っていれば、警察に届け出ますよね。同居する家族といえども、勝手にお金を使っていいはずがありません。
無知:ほかの家族からすれば、「おいおい、そんな勝手な解釈をするなよ」っていう話ですね。家族による財産の使い込みがわかったら、どうしたらいいんですか?
前田:財産を所有する本人が生きているうちは、使い込んだ相手に「お金を返せ」といえます。でも、認知症になっていたら困難になります。後見人をつけるにも手間がかかるので、〝横領し放題〟になってしまいます。
認知症発症後、相続人の誰かがキャッシュカードを使ってATMでお金をおろした事実を立証できるならば、成年後見人が就任した段階で、「不当利得返還請求権」を主張して認められれば、お金をとり戻すことができます。成年後見人が就任しなければ、亡くなったあとにほかの相続人が、同じく不当利得返還請求権を主張して、お金をとり戻すことになります。
キャッシュカードでお金を抜けば、誰が引き出したかまでは、なかなか特定しづらいです。金融機関の防犯カメラなどで人物を確認できるならば特定することは可能ですが、実際のところ、それは困難なので、とり戻すことは現実的にほぼ不可能です。
だから、そもそもキャッシュカードを家族に預けるのは慎重に考えたほうがいいのです。
前田智子
相続専門税理士
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
注目のセミナー情報
【海外不動産】12月18日(木)開催
【モンゴル不動産セミナー】
坪単価70万円は東南アジアの半額!!
世界屈指レアアース産出国の都心で600万円台から購入可能な新築マンション
【事業投資】12月20日(土)開催
東京・門前仲町、誰もが知る「超大手ホテルグループ」1階に出店!
飲食店の「プチオーナー」になる…初心者も参加可能な、飲食店経営ビジネスの新しいカタチとは?