●人物紹介
・前田智子…これまで4,000件以上の相続相談を扱ってきた税理士・行政書士。
・国税書夫…東京国税局の元国税専門官。国税局を退局後、マネーライターに転身。
・無知相続…現在52歳、実家の相続について考えたことがない“相続対策の素人”
生前に「財産目録」を作っておけばラク
国税 遺産分割協議書の案を作るときは、当然ながら相続する財産を把握しなくてはいけませんよね。
前田 故人が生前に現預金や不動産、株式、借金(ローン)など相続する財産を一覧にした「財産目録」を作っていればいいのですが、それがなければのこされた家族が財産目録を作らなくてはいけません。
この財産確認があやふやだと、遺産分割協議を済ませたあとで、財産や借金が見つかるかもしれません。そうなれば、あらためてその分をどう分けるかを話し合い、遺産分割協議書をまとめ直さなければなりません。状況によっては相続税申告のやり直しも発生するので、かなりめんどうになります。
国税 どうすれば財産を漏れなく把握できますか?
前田 泥くさいやり方ですが、故人が過ごした部屋を中心に家のなかをくまなく探して、通帳や書類などの財産を見つけていくほかありません。
通帳を見つけたら記帳をして、入出金の記録をヒントにほかの財産も調べましょう。保険料が引かれていたら保険に入っているでしょうし、株式の配当金が振り込まれていたら証券口座をもっているでしょう。保険会社や証券会社から、郵送で何かしらの通知が届いているはずなので、そうしたものも参考になります。
不動産の把握はどうすればいい?
無知 なんだか大変そう……。やっぱり自分の財産は生前にきちんとリストアップしておかないと、のこされた家族は困りますね。不動産はどうでしょうか? 僕の親は自宅を所有していることは知っていますが、聞いていないだけで、ほかにも所有しているかもしれません。
前田 毎年必ず届く固定資産税の課税明細書をチェックしてください。これを見れば、どこに所有物件があるか把握できます。
ただし、けっこうこの通知を捨てている人が多くて、表紙だけとって残りは捨てるような人もいます。表紙以外に書かれている情報も大事なので、できるだけ1年は冊子のまま保存しておきましょう。
国税 もし通知を捨てていたら、法務局で固定資産税の課税証明書を得れば情報を確認できますよね。
前田 はい。また、不動産の一覧表である「名寄帳」(固定資産課税台帳)を確認すると、その人が所有している不動産を把握できますよ。名寄帳は、所有者もしくは、その相続人であれば市区町村に発行を請求できますので、ぜひ確認してみてください。
前田智子
相続専門税理士
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