税務調査の結果「追徴税100万円」を支払うハメに
徐々に夫を失った悲しみも癒え、ようやく日常を取り戻したある日のこと。税務署から悦子さんのもとに、「相続税調査に伺いたい」との連絡が入りました。夫の死から、約2年後のことです。
悦子さんが敦さんに相談すると、「うーん、なんでうちなんかに税務調査に来るんだろうね。相続財産は預貯金と自宅ぐらいしかなかったのに……」と心当たりがない様子。
悦子さんも身に覚えがなく困惑しましたが、断る理由もなかったことから、調査を受け入れることにしました。
そして税務調査当日。息子は仕事で忙しく、悦子さん1人で対応したところ、調査官から「追徴税100万円」がかかる旨の通達を受けたのです。
「な、なにかの間違いでは……」
身に覚えがないにもかかわらず100万円を支払えといわれ、大きくうろたえる悦子さん。目に涙を浮かべる悦子さんの様子を見た調査官は「まさかの事実」を口にします。
「旦那様は数年前、大山さんという方に500万円の無償融資をしているようですね」
「大山さんというと、夫が学生時代から懇意にしていた親友です。500万円って、本当ですか……?」
大山さんとは家族ぐるみで仲よくしていたことから、悦子さんもよく知っている人物でした。
調査官の説明によると、本来であれば友人に対する貸付金として相続税財産に計上しなければいけませんでした。ところが今回この貸付金が無申告であったため、相続税の「申告漏れ」と判断されたようです。
税務調査官は故人の口座を「7年分」遡及できる
相続税の税務調査でもっとも指摘を受けやすいのが、現金・預貯金の申告漏れです。国税庁「令和5事務年度における相続税の調査等の状況」によると、相続財産ごとの申告漏れの金額のうち、現金・預貯金が占める割合は30.3%となっています。
このことから、税務署は税務調査の際、現金・預貯金について重点的にチェックしていることがわかります。
また、税務署の調査権限は非常に強力です。調査時は個人の銀行口座の取引履歴について、7年前まで遡って調べることが可能であるほか、調査対象者本人だけでなく相続人である家族やその他関係者の口座も調査できます。
このため、たとえば意図的に財産隠しを行っていた場合であっても、隠し通すことは非常に困難です。
もしも税務署から「仮装・隠ぺい」したとみなされた場合、悪質だとして「重加算税」という重いペナルティを課される場合も。この場合、遡及期間は最大10年間に延長されます。
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