なにかの間違いでは…75歳の妻、号泣。いつも一緒だった最愛の夫が他界して2年後「税務調査」で明らかになった、夫の“まさかの隠しごと”【税理士の助言】

なにかの間違いでは…75歳の妻、号泣。いつも一緒だった最愛の夫が他界して2年後「税務調査」で明らかになった、夫の“まさかの隠しごと”【税理士の助言】
(※写真はイメージです/PIXTA)

コロナ禍で一時落ち着いたものの、税務調査の件数は近年再び増加傾向にあります。では、個人が狙われるのはたとえばどのようなケースなのでしょうか。75歳の佐藤さん(仮名)の事例をもとに、個人が対象となる税務調査の注意点をみていきましょう。宮路幸人税理士が解説します。

「税務調査」急増中…標的は“隠し財産”

国税庁が令和6年12月に公表した「令和5事務年度における相続税の調査等の状況」によると、相続税調査の実施件数は前年比4.4%増の8,556件、追徴税額は同9.8%増の735億円、また1件あたりの追徴税額は同5.2%増の859万円となりました。

 

税務調査といえば、実際に訪問して行う「実地調査」がメインですが、近年は文書や電話等による「簡易な接触」にも力を入れています。

 

同事務年度において、この「簡易な接触」の件数は前期比25.2%増の1万8,781件、追徴税額は40.8%増の122億円と、いずれも簡易な接触の事例公表を始めた平成28事務年度以降で最高となりました。

 

このように、コロナ禍が落ち着いてからというもの、税務調査は増加傾向にあります。

 

また、税務署は近年、故人の「名義預金」や故人しか知らない銀行口座の預金など、 “家族の知らない取引”の調査に力を入れているようです。税務署は調査において過去7年分の記録(取引の履歴など)を追跡できることから、過去の“隠れ財産”が暴かれ、家族の絆が揺さぶられるケースが続出しています。

2年前、最愛の夫を亡くした佐藤さん

「なにかの間違いでは……」

 

佐藤悦子さん(仮名・75歳)は、税務調査官からの“思わぬひと言”に、自宅でひとりうろたえています。

 

――2年前、長年一緒に連れ添った最愛の夫・進さん(仮名)が78歳で他界。悲しみに暮れる悦子さんでしたが、ひとり息子の敦さん(仮名・52歳)の支えもあり、なんとか葬儀や諸々の手続きを進めることができました。

 

「俺はなにもいらないから、父さんが遺した財産は全部母さんが相続しなよ」

 

小さなころから家庭のために尽くしてくれた母親への恩返しがしたいと、敦さんは相続放棄を決断。息子が相続放棄したことによって、悦子さんは夫の貯金2,000万円と実家(評価額4,500万円)を相続することになりました。

 

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