(※画像はイメージです/PIXTA)

相続が発生したとき、しばしばもめるのが「相続人がそろわない」ケースです。万一「行方不明の相続人」がいたら、どのように対応したらいいのでしょうか?『もめない遺産相続、失敗しない遺言』(ワニブックスPLUS新書)の著者、杉村政昭氏が遺産分割協議について詳しく解説します。

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Q4. 相続人がそろわないとき、遺産分割はどうすればよいですか。

A. 相続人がそろわない場合として、次の(1)、(2)、(3)の場合が考えられ、対応策はそれぞれあります。

 

(1)相続人の一部が遠隔地にいる場合

手紙、電話などで話し合い、遺産分割協議書の案を郵送して同意を求めるか、代理人を選任してもらって、協議に参加してもらうのがよいでしょう

 

(2)相続人の一部が行方不明または生死不明の場合

極力、行方を捜すことはもちろんですが、生死不明が七年以上のときは、家庭裁判所に申し立てて失踪宣告※1の審判をしてもらうことができます。審判があると、失踪した人は、生死不明になってから七年経過したときに死亡したものとみなされます。

 

ときたま便りがある(この場合は、生存は確実ですから、単に行方不明で生死不明ではありません)とか、生死不明状態が七年経過していないなど、失踪宣告ができない場合は、家庭裁判所に申し立てて不在者のための財産管理人※2を選任してもらい、その管理人が分割協議に参加します。ただし、管理人が分割協議に同意するには家庭裁判所の許可が必要です。

 

(3)行方不明者の相続人が後日現れた場合

ほかの相続人が、行方不明者が生きていることを知らずに遺産分割をしてしまった場合、行方不明だった者は、自分の取り分を遺産分配を受けた人たちに分配された遺産が残っている限度で、請求できます。

 

ただし、ほかの相続人が、行方不明者が生きていることを承知で分割したのなら、その分割は無効とされます。

Q5. 相続人のあいだで遺産分割協議がまとまらない場合は、どうすればよいですか。

A. 遺産分割の協議に共同相続人が全員参加できない事情があったり、協議しても合意が得られないときは、家庭裁判所に調停および審判を申し立てて分割してもらうことができます。

 

1.家庭裁判所の調停

遺産分割の調停は、解決を望む相続人がほかの相続人を相手方として「相手方の住所地の家庭裁判所」に申し立てます。添付資料として、共同相続人や利害関係人のリスト、遺産目録、被相続人の除籍謄本、相続人の戸籍謄本※3などが必要です。

 

家庭裁判所では裁判官ひとりと調停委員ふたり以上で構成される「調停委員会」が調停にあたります。話し合いが成立すると、その結果は調停調書に記され、この調書が確定した審判と同一の効力があります。

 

2.家庭裁判所の審判

審判も、相続人がほかの相続人を相手方として申し立てますが、「被相続人の住所か相続開始地の家庭裁判所」に調停と同様の資料を添えて行います。審判は非公開で、裁判所の職権で証拠調べをし、法定相続分を基準としつつ、特別受益や寄与分および財産の種類、性質、各相続人の職業その他一切の事情を考慮して、公権的に分割方法を決めます。

 

この審判に不服があれば、不服の申し立てをして高等裁判所で争うことになります。

 

※1 失踪宣告……普通失踪と特別失踪があるが、普通失踪では、生死不明になったときから七年経過したときに死亡したものと見なされる

 

※2 財産管理人……相続遺産や不在者の財産を管理・清算する人のこと。相続財産管理人の役割は次のとおり。「相続財産を調査・把握する」「債権者や受遺者への支払いを法律に基づいて行う」「特別縁故者に対する相続財産の分与の手続を行う」「残った財産を国に帰属させる」

 

※3 戸籍謄本……戸籍に記載されている全員の身分事項を証明するもの。戸籍は、夫婦と未婚の子によって構成される。夫婦と未婚の子がふたりであれば、その四人全員の身分事項を証明するものが戸籍謄本になる。戸籍抄本とは、戸籍に記載されている者のうちひとりまたは複数人の身分事項を証明するもの

 

 

セミナー講師

杉村政昭

 

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※本連載は、杉村政昭氏の著書『もめない遺産相続、失敗しない遺言』(ワニブックスPLUS新書)より一部を抜粋・再編集したものです。

もめない遺産相続、失敗しない遺言

もめない遺産相続、失敗しない遺言

杉村 政昭

ワニブックスPLUS新書

元三井信託銀行の主席財産コンサルタントで、現在もカルチャーセンターなどで、遺産相続や遺言書の書き方などの人気講師を務める著者が、実例に即したQ&A形式で、深刻なトラブルを回避する遺産相続の方法と遺言の残し方を伝授…

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