本来、会社の人事制度には、社員の処遇を決めるほか「組織活性化」や「人材育成」いった目的があります。しかしながら、その実態は給与や賞与を決める「評価」に終始し、社員の成長や意欲向上には繋がっていないケースが多いと、経営・人事コンサルタント荻須清司氏はいいます。そこで本記事では、荻須氏の著書『ここで働きたいと言われる会社になる 中小企業のための人が辞めずに育つ人事制度』(幻冬舎メディアコンサルティング)から一部抜粋・再編集し、社員の成長意欲を引き出す「正しい評価制度」について詳しく解説します。
社員の成長意欲が向上するフィードバックが必須
これは、会社の評価制度でもまったく同じことがいえます。単に公平・公正な評価で点数を付けて、それを本人にフィードバックするだけでは、上位2割より下位の社員は「もっと成長したい!」などとは思わないものです。
学校と同じように、正しい評価をするだけでは、多くの社員にとって、定着・成長を促すことにはならないのです。
社員本人に「ここで働きたい! ここでもっと成長したい!」と思ってもらえる会社になるためには、単に公平・公正な評価だけでなく、「成長意欲が向上するフィードバック」が絶対的に必要になります。
重要なことは、部下を評価して終わりではなく、評価のフィードバックを通して、部下の成長を支援することなのです。
正しい評価制度とは、単に社員を評価するための制度ではなく、会社が社員の成長を支援するための制度であるべきなのです。そのため、私が行う「成長支援型人事制度」では、「評価制度」ではなく「成長支援評価制度」と名付けています。
荻須 清司
株式会社エニシードコンサルティング 代表取締役
株式会社エニシードコンサルティング
代表取締役
1963 年愛知県名古屋市に生まれる。大学を卒業後、東証一部上場住宅設備機器メーカー、エクステリアメーカーなどで約20年間、営業、人事、法務、経営企画に従事し、M&A、海外現地法人設立、株式店頭公開業務にも携わったのちに独立。
2005年に名古屋ワークスマネジメントオフィスを設立し、中小企業の経営・人事労務支援を行うなかで、多くの人事制度が社員の成長や生産性向上などの課題を解決しないことに疑問をもつ。2013 年に株式会社エニシードコンサルティングを設立し、人事制度構築支援を本格的に開始。
経営者と社員の幸せを両立する経営・人事コンサルタントとして、これまでの20年間で、中小企業を中心に650社以上の「正しい人事制度」構築支援を行い、人材育成研修・セミナーでは1万人を超える支援実績を誇る。
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