人事制度には種類がある?
私は、人事制度には、「正しいもの」と「正しくないもの」があると考えています。
「正しい人事制度」とは、評価と賃金の決定を通じて社員が定着・成長し、業績向上や事業継続につながる仕組みです。
一方で「正しくない人事制度」とは、評価と賃金の決定はできるものの、社員が定着・成長せず、業績向上や事業継続につながらない仕組みをいいます。
私は、この「正しい人事制度」を実現するためには、3つのポイントがあると考えています。
「正しい人事制度」を実現するポイント
ポイント1 基準や運用ルールが「見える化」されている
ポイント1は、評価や賃金決定の基準や運用ルールが見える化されているか、それとも経営者や経営幹部の頭の中だけにあるブラックボックス状態になっているか、ということです。
社員が「何をどう頑張ればどのように評価され、それが賃金にどう反映されるのか」を理解していれば、自分のやるべきことが明確になり、成長への意欲が高まります。
一方で、それが見えていない場合は、目隠しをされたまま「頑張れ」と言われているような状態になり、自分の現在地や歩むべき道も分からず、不安だけが募るものです。その結果、成長意欲は低下していきます。
さらに、社員が経営者に説明を求めた際に明確な答えが得られなければ、会社への不満や不信感を大きく募らせることになります。このような状況では、経営者と社員との溝は深まる一方です。
だからこそ先出しジャンケンで、評価や賃金の基準、運用ルールを初めに見える化することが、正しい人事制度を構築するうえで欠かせないのです。
ポイント2 上司が「部下の成長は、上司次第」と心から思えている
ポイント2は、部下の成長を本気で願う上司であるかどうかということです。これが、優れたリーダーとそうでないリーダーを分ける大きなポイントになります。
上司が部下の成長を人ごととしてではなく、自分自身の喜びとして感じられるかどうかが、問われる場面は少なくありません。
しかし、初めから「部下の成長は、上司次第」と言われても、「いや、それは本人の努力次第ではないのか?」と思ってしまう上司が多いかもしれません。
とはいえ、そのような姿勢では、部下が「この職場で働きたい!」「ここでもっと成長したい!」と心から思うことはありません。これは、子どもの成長を見守る親が感じる喜びと似ています。
たまたま縁があって共に働く部下の成長を見て、喜びや誇らしさを感じるのは、上司として自然な感情ではないでしょうか。さらに、部下の成長を願い、手助けし、教えるプロセス(過程)そのものが、上司自身の成長につながるのです。結局のところ、部下の成長を心から願える上司であるかどうかが、正しい成長支援を行えるリーダーと、そうでないリーダーの分岐点となります。
