“もしも”のために個人ができること
老いは基本的に失っていく過程であり、足腰の強さや視力のみならず、認知症になると記憶も失われます。その現実に対する予防や準備ができる人は、私のこれまでの経験上でもほぼいないといってよいほどです。
それでも、「できるだけ認知症になりたくない」「家族に経済的負担をかけたくない」と考えるのであれば、いくつかの対策は可能です。
例えば、老後の住まい(自宅か施設かなど)について事前に意思表示をすることや、資産を次世代へ早期に譲渡したり、信託制度を利用して管理したりする方法などが考えられます。とはいえ、結局は生活習慣の延長になるケースが多いので、認知症になっていない段階で自分の生活レベルを落として準備をする方が理にはかなっています。
しかし、人間の本性として、将来の認知症への懸念から現在の生活レベルを意図的に下げることは、現実には難しいものです。例えば、資産のある方が自ら質素な生活を選んだり、将来のために厳格な小遣い制を導入したりすることは稀でしょう。現在の楽しみを過度に我慢することはストレスを招き、かえって健康を損なう可能性すらあります。
家族だからこそできる備えとは
そうしたなかで家族ができる対応としては、まず直接的な資産管理を避けることです。これは家族自身の大きなストレスになりがちです。
かといって、ご本人に全てを任せるのも危険が伴うため、任意後見制度などを活用し、専門家である第三者に介入してもらうことが有効な手段の一つでしょう。そうすれば、たとえ資産の使いすぎ自体は解決できなくとも、お互いにとって無理のない範囲で生活が送れますし、家族にとっても過度なストレスが回避できます。
認知症の方自体、非常に不安が大きく、痛みを抱えているため、ご家族であれ、ケアワーカーであれ、認知症の介護に当たる方はその不安や痛みと付き合っていかねばならず、精神的なストレスがかかります。
そこに資産管理のストレスが加わることはなるべく避けた方がいいと思いますし、そういう意味では、ストレス緩和に効果のある軽い運動やマインドフルネスなどの瞑想、趣味への没頭や、誰かと話すなど人とのつながりをもつことが結果として良い効果を生むこともあり、おすすめです。
・世界保健機関(WHO)「認知機能低下および認知症のリスク低減のためのガイドライン」(日本語版:20200410_theme_t22.pdf)
・厚生労働省「認知症および軽度認知障害(MCI)の高齢者数と有病率の将来推計」(https://www.mhlw.go.jp/content/001279920.pdf)
高浜 将之
株式会社土屋
常務取締役 兼 COOアシスタント副最高執行責任者
注目のセミナー情報
【海外不動産】12月18日(木)開催
【モンゴル不動産セミナー】
坪単価70万円は東南アジアの半額!!
世界屈指レアアース産出国の都心で600万円台から購入可能な新築マンション
【事業投資】12月20日(土)開催
東京・門前仲町、誰もが知る「超大手ホテルグループ」1階に出店!
飲食店の「プチオーナー」になる…初心者も参加可能な、飲食店経営ビジネスの新しいカタチとは?
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
