前向き抱っこで赤ちゃんに色や光、音で溢れる世界を見せよう
母親から受け継いだ免疫が切れる生後4~5カ月の頃は、赤ちゃんの健康を特に配慮すべき時期です。この時期にわざわざ雑踏に連れ出し、風邪をひかせてしまうようなことは避けなければいけません。
ただし、赤ちゃんの健康状態が安定し、首がすわってからは、積極的に外出して広い世界を見せてあげてほしいと思います。買い物や散歩に連れ出すことで、赤ちゃんが家の中とは異なる環境に触れる機会を増やせます。外の世界には、色や光、音、空気、においなど、赤ちゃんの五感を刺激するさまざまな情報があふれています。これらの新しい体験が赤ちゃんの発達を促します。
家から外に出るときは、赤ちゃんにも行き先や目的を話しかけながら一緒に世界を共有してあげるとよいと思います。親の中には「赤ちゃんに説明したり、いろいろ見せたりしても覚えていないから意味がない」という意見もありますが、物心がついた子どもに接するように、内容を説明し、話しかけることで、コミュニケーションの基礎を築くことができると私は考えています。たとえその経験が成人する頃には具体的に思い出せなくなっていたとしても、記憶の深い部分には刻まれているものです。その「見えない記憶の蓄積」が、のちの人間力を育む一助になるのです。
外出の効果を最大限にするために、抱っこの際には赤ちゃんを前向きにし、自分と同じ目線で外界を見せてあげてください。ベビーカーで出かけるときは、赤ちゃんを進行方向に向けるようにしてあげると、視界に変化が多くなるため、対面式よりも外の風景や人の動きなどに触れる機会が増えます。おんぶを活用するのも効果的です。母親の背中越しに見る世の中は、赤ちゃんにとってほかにない体験となります。
夫婦と赤ちゃんでの旅行もおすすめです。赤ちゃんを連れての旅行は確かに手間がかかります。オムツ、ミルク、着替え、折りたたみ式ベビーカーなど、準備するものは多岐にわたります。特に海外旅行では、赤ちゃんのパスポートや現地での医療機関リストの準備も必要です。それでも、苦労を超えて赤ちゃんに多くの経験をさせることは、大きな価値があるのです。さまざまな場所に連れて行き、素晴らしい景色や本物の美しいものを見せてあげることが、知らず知らずのうちに子どもの成長を促す一助となっていくのです。
赤ちゃんを祖父母に預けて夫婦だけで旅行に行くという選択もありますが、赤ちゃん自身が非日常の経験を楽しむことを考えると、できるだけ一緒に連れて行ってあげてほしいと思います。赤ちゃんの頃から多くの体験をさせ、たくさんの愛情を込めて接することは、その子どもの未来に大きな影響を与えます。そのように育ててもらった子どもは、幸せに成長するに違いありません。
