子どもを変えたかったら親が先に変わる
子どもは親の「言うこと」ではなく、「すること」を見て育つものです。親がどのように行動し、どんな価値観を示すかが、そのまま子どもの人格や振る舞いに影響します。
もし親が他人の悪口を子どもの前で話しているとしたら、子どもはそれを見て「悪口は陰で言えばいいんだ」と学びかねません。例えば、マンションのママ友同士である人の悪口を散々言っていたのに、その本人が来ると途端に笑顔で「こんにちは」と挨拶し親しげに話し始める……このような態度を子どもが見ていると、「人前ではいい顔をして、陰で何を言っても構わない」という間違った価値観が身についてしまいます。子どもは親の言葉ではなく、親の行動をそのまままねるからです。
例えば、親が玄関で靴をそろえて「ただいま」と帰宅する姿を見せていれば、子どもも「お父さんがしているから私もやろう」と思うでしょう。
デール・カーネギーが『道は開ける』(1944)と『人を動かす』(1936)で語るように、周囲を変えたいなら、まず自分が変わる必要があります。子どもの行動を良い方向に変えたい場合も、親が先に変化を示しましょう。子どもはいつでも親を見ているのですから、親が変われば子どももすぐに変わります。
子どもの成長とともに親の役割は変わる
子どもは日々成長しています。それに伴い、親としての役割や関わり方も変わらなければなりません。私自身も「幼稚園児の父親」から「中学受験生の父親」、さらに「中高一貫女子校生の父親」「大学生の父親」を経て、現在は「社会人(7年目)の父親」として子どもと向き合ってきました。その経験の中で学んだのは、子どもの成長に合わせて親も成長し続ける必要があるということです。
幼稚園児の親として理想的だった接し方も、小学生や中学生の親としては通用しないことがあります。子どもの発達に寄り添い、柔軟に対応を変えながら「最高の親」であり続けるには、親自身が常に学び、アップデートを続けることが大切です。もちろん、親であることに「完成形」はありません。わが子が何歳になっても親は親。その時々で、子どもにとって良い影響を与えられる存在でありたいと思っています。
子どもとの接し方は、成長段階に応じて変わるべきです。幼稚園児には手を貸し、なんでもやってあげることが必要ですが、小学生になれば少しずつ自立を促し、中学生や高校生には自分で物事を考え、行動する力を育てる関わり方が求められます。しかし、それに気づかず、幼児期と同じ方法で接し続けると、親離れや子離れができず、相互依存の関係になってしまうこともあります。
「子どもは親の所有物ではなく、自由に生きるべきだ」とよくいわれます。その考えにも一理ありますが、それだけでは親としての使命を見過ごしてしまいます。親の使命は、「授かった子どもを幸せにし、社会に貢献できる人物として育て上げること」です。親がこの使命を果たすことで、間接的に社会に貢献することができます。
親が学び、成長し続ける姿を見せることで、子どもも自然とその姿勢を受け継いでいきます。親として「完璧」である必要はありません。しかし、学び続ける努力をする親は、子どもの可能性を広げる存在になれるのです。わが子がより良い人生を歩めるよう、親自身も学び、アップデートしていきましょう。
