(※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「市川レポート」を転載したものです。

●株価急落時においては、長期の視点をしっかりと持って、株安の原因を冷静に精査することが大切。

●日経平均急騰後の株価は一定期間で上昇の傾向、日経平均の長期上昇トレンドも継続中。

●株安の原因で確認すべきは金融システムへの影響などの点、関税ショックに過度な懸念は不要。

株価急落時においては、長期の視点をしっかりと持って、株安の原因を冷静に精査することが大切

トランプ米大統領は2月1日、カナダ、メキシコ、中国に追加関税を課す大統領令に署名して以降、次々と関税政策を発表しました。この間、日経平均株価は軟調に推移し、4月7日には年初来安値となる31,136円58銭をつけました(終値ベース、以下同じ)。しかしながら、4月9日に米相互関税の上乗せ分について、一部90日間の停止が発表されると、上昇に転じ、5月13日には38,183円26銭まで一気に値を戻す展開となりました。

 

日経平均が3月下旬から4月上旬にかけて急落した当時に比べると、現時点で米関税ショックはかなり和らいだように見受けられます。そこで今回のレポートでは、改めて株価急落時の心構えについて考えます。一般に、株価が大幅に下落した時は、長期の視点をしっかりと持って、株安の原因を冷静に精査することが大切と思われます。以下、具体的にみていきます。

日経平均VI急騰後の株価は一定期間で上昇の傾向、日経平均の長期上昇トレンドも継続中

市場の不安心理を反映する「日経平均ボラティリティーインデックス(VI)」は、日経平均が年初来安値をつけた4月7日に50を超えました(図表1)。

 

出所:Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表1]日経平均VIと日経平均株価 出所:Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

30を超えると、不安がかなり高まっている状態とされるため、50超えは極度の不安状態といえます。ただ、過去のケースをみると、50超え後の日経平均は、1カ月後、半年後、1年後でおおむね上昇しており、今回も1カ月後は上昇しました。

 

さらに長期の視点でみると、日経平均は2012年以降、上昇トレンドを形成しています(図表2)。

 

出所:Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表2]日経平均株価の長期上昇トレンド 出所:Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

日経平均は2020年のコロナ・ショックで、下値支持線を割り込んだものの、一時的なものにとどまり、昨年8月の急落(令和のブラックマンデー)では、下値支持線を割り込むことはありませんでした。今回の米関税ショックの下げも下値支持線でしっかりサポートされており、日経平均の長期的な上昇トレンドに変化はないと判断されます。

株安の原因で確認すべきは金融システムへの影響などの3点、関税ショックに過度な懸念は不要

次に、株安の原因について確認すべきは、金融システムへの影響の有無、流動性への影響の有無、他国・他地域への影響の有無の3点です。米関税政策は、3つ目の他国・他地域への影響が懸念されますが、4月10日付レポートでも説明した通り、関税は有利な取引条件を引き出すためのカードであり、交渉次第で修正が想定され、高い関税率が長期間続くことは考えにくいことなどを踏まえると、3つ目に過度な懸念は不要と思われます。

 

そのため、関税が引き下げ方向へ向かう動きが確認されれば、市場の混乱は収まっていく公算が大きいと推測され、前述の長期的な視点とあわせれば、3月下旬から4月上旬にかけての日経平均急落時でも、落ち着いた行動が可能になると思われます。この先、なんらかの原因で、株価が大幅に下落した時の心構えとしては、慌てずに長期の視点を持ち、株安の原因を冷静に精査することが大切と考えています。

 

 

※当レポートの閲覧にあたっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『米関税ショックが和らぎ改めて考える株価急落時の心構え【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】』)。

 

 

市川 雅浩

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

チーフマーケットストラテジスト

 

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