競争が少ない郊外か、市場として大きい都会か・・・
次にお店の「場所」についてです。「都心がいいか? 郊外がいいか?」と考えたときに、どちらを選ぶかは、「自分が将来も考えてどういうお店をつくりたいか?」というところによります。
事業として、どんどん大きくしていきたいということであれば、絶対に都心型の方がよいです。なぜかというと、トラフィック(交通<量>や通行<量>のこと。ここでは人の流れ、量をさす)が違うからです。
例えば郊外の住宅地ですと、自宅がそこにあって、仕事のために都心部まで通うという人が多くなります。
そうすると、平日の昼間にそのあたりにいる人というのは、奥様方やお年寄りや子供。つまり、平日昼間にそれ以外のお客様にきていただくというのは難しくなります。結局、そのエリアに住んでいる人だけしかお客様になりえないというかたちになります。
一方、これが都心になってくると当然その近くに住んでいる人もいますし、会社もたくさんありますから、郊外からそこに向かって通ってくる人もたくさんいることになります。さらに、土日に遊びにくる人もいます。ということで、トラフィックが何十倍、何百倍というかたちになるのです。
つまり、市場が非常に大きいため、チャンスも非常に大きいということになります。しかし、チャンスが大きい分、当然、競争も厳しくなってきます。
狙った場所の「相場観」を早くから養うことが重要
これらを踏まえたうえで、どちらをとるかということになると思います。都心はお店の数も多いですし、浮気をする人も多いので、市場の中で高い位置を維持し続けるには、事業として、テンションを高く保たなければいけないということもあります。
多くのお客様にきてもらう都心型のお店づくりを目指していくのか、それとも一人のお客様にずっときてもらうという郊外型のお店をつくっていくのか。どちらにするかは、考え方次第です。
もちろん、住宅地でもターゲッティング、ポジショニングの仕方で、やりようはいくらでもあります。ただ、一定のトラフィックは必要だと思います。
トラフィックという観点でいくと、郊外の方だと路面店の方が有利になってくると思うのですが、都心だと路面店がよいとは一概にはいえません。なぜかというと、都心の路面店だと家賃が高いからです。当然、徒歩で無理なく行ける場所という立地は重要ですが、路面店でなくてもよいのです。いかに自分の店までお客様を引っ張ってこられるかがポイントになると思います。
個別の物件の選定は自分自身でやることになると思いますが、重要なことは、お得な物件をいかに見つけるか、ということになると思います。
坪単価一万五、〇〇〇円でそれが安いのか高いのかというのは、当然、地域によって異なります。どこでやりたいかできるだけ早く決めて、ねらった場所の「相場観」を早くから養ってほしいと思います。
例えば池袋であるなら、東口のこの辺ならいくらぐらいが妥当だとか、そういった相場観がついてくれば物件も探しやすくなります。
ですので、可能であれば勤務時代からその近くの店で勤められればよいでしょうし、ちょっと遠いとしても、ネットで見たり、不動産屋と仲良くなったりして、本格的な物件選びに入る前に、その辺りの物件の相場をしっかり調べるべきです。
[図表]物件選定のポイント