オーナーが法人であれば交渉が容易なことも
物件選びの隠れた常識、知っていると得するというような情報をいくつかお話しします。
①借りる相手が法人オーナーの方が個人オーナーより交渉しやすい
個人オーナーはこだわりをもっていたりして、なかにはこの値段以下では絶対に貸さないとか、こういう業種には絶対に貸さないとか、そういう人もいます。
一方、法人のオーナーだと賃貸で営利を追求しなければなりません。特に法人所有の物件を管理会社の人間が管理していたりすると、交渉の相手はその会社の会社員だったりします。
こういう人はサラリーマンですから、物件を空けておくと、自分の成績にも関係します。ですので、わりと交渉に乗ってくれやすいということがあります。
②物件が多い地域だと比較しやすいので交渉もしやすい
物件の少ない地域というのは、借りたいという需要の方が、貸したいという供給より多くなってしまいます。借りる側からすると、当然、物件がないとお店がはじめられませんから、そこを逃すとほかにない、という心理状態になりやすく、交渉が不利になりがちです。
ところが、例えばターミナル駅などの物件が多い地域だと、もしそこがだめだったら他のところでよいというふうに交渉することもできますし、似たような物件がたくさんあるので比較もしやすくなります。
あの物件がこれくらいの値段だったら、この物件はもう少し安くなるんじゃないか、というような交渉時のネタにも使えます。
③空調をつける、つけない
これも結局大家さんとの交渉になってきます。
業務用の空調をつけるとなると、費用が一〇〇万円くらいかかったりします。それを自分の費用でつけるのか、それとも大家さんが出してくれるのかというのは大きな違いになります。そういったことも視野に入れて、交渉していくということが重要になります。
④こちらに実績があると有利になる
これは二号店以降の話になりますが、事業をやっていて好調に推移しているというのが相手にも見えると、交渉次第では、六か月くらいのフリーレント(一定期間、家賃無料で借りること)をつけてくれるなどもあり得ます。これは向こうから言ってくれるケースもありますが、やはり交渉になります。
申込書を入れても、契約成立までは安心できない
次は実際に物件をこれに申し込もう、となった場合のポイントです。
物件を申し込むときには、まず不動産業者に「申込書」というのを提出します。ここで注意してほしいのが「申込書というのは契約書ではない」ということです。むしろ、「まず申し込みをしないとはじまらない」という場合が多いのです。申し込みして終了というのではなく、むしろはじまりなのです。
申し込みを入れたから、もう安心と思ってはいけません。自分が申し込みをした後にほかにもっと高く借りたいという人が出てきて、「実は同タイミングで申し込みが入って」と不動産業者に言われ、ひっくり返されることだってあります。契約が成立するまでは、安心はできません。