新規開業する企業を狙うべきか
休廃業などにより中小企業の数が減少しているとはいっても、その一方では、新規開業する企業も毎年たくさんあります。そこで、休廃業や事業承継によって関与先の減少があるとしても、その分を新規開業企業の獲得で補えばいいという考え方も出てきます。その考えが間違っているとはいえませんが、ハードルは高いでしょう。
まず、新規開業企業は一般的に資金的な余裕がないため、バックオフィスのコストはなるべく抑えようとする傾向があります。実際、起業からしばらくの間は売上や費用自体も少なく記帳項目も少ないため、記帳はクラウドの会計ソフトなどを使って社長自らが行い、決算報告書の作成だけを会計事務所に依頼するといったやり方もよく採られます。
いずれにしても低コストが重視されるので、会計事務所から見ると付加価値の低い業務になりがちです。
また業種にもよりますが、IT系やWeb系などの比較的若い創業者の場合、バックオフィスサポートの外部業者についても同じようにITやWebに理解のある若い業者を選ぶ傾向があります。もともとそのような分野に強い事務所であればよいのですが、そうでないとなかなか顧問として選ばれない可能性があるのです。
さらに、新規開業企業を主要ターゲットにして、開業時の登記や各種の届出などを含めてまとめて請け負っている特化型の会計事務所もあります。そのような事務所では若いスタッフを採用し、効率的に業務をこなす仕組みを作り上げています。
加えて、多大な費用を掛けたマーケティングを駆使して新規開業者に接触しており、案件の獲得力も強力です。これらの点を考えると、新規開業企業を獲得していくことは競争が厳しいうえに収益性も(少なくとも開業から当面の間は)低く、既存の関与先からの紹介などによる場合を別とすれば、狙って採っていくには厳しいターゲットであるといえるでしょう。
上夷 聡史
(株)日本M&Aセンター執行役員 コンサルタント戦略営業部 統括部長
行政書士
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