新NISAで注目を集める投資信託。ネット上では、「儲かる」「リスクが高い」といった漠然とした的外れなイメージも先行してしまっている印象を受けます。投資信託の本当の魅力度、そして注意すべき落とし穴とは? 本記事では、シデナム慶子氏の著書『投資に必要なことはすべて海外投資家に学んだ』(サンマーク出版)より、投資信託の仕組みをわかりやすく解説します。

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投資信託に魅力的な商品がない理由

1.コストに見合う商品がない

 

 

まず、負担するコストに見合うだけの商品が、あまりありません。

 

投資信託には日経平均株価やS&P500といった株価インデックスに対して運用成績を連動させるインデックス運用と、こうした株価インデックスを基準にして、それを上回るリターンの実現を目指すアクティブ運用とがあります。このうちインデックス運用の投資信託は、現時点でもかなりコストが下がっているのですが、アクティブ運用の投資信託のコストはまだ割高です。

 

アクティブ運用のフィーは3%程度というのが多いのですが、より高いパフォーマンスを出しているヘッジファンドでも2%です(ただし、ヘッジファンドの場合はパフォーマンスに応じた成功報酬もあるのでよいファンドを選ぶことは重要になりますが)。

 

もちろん、割高でも高いリターンを実現できればなんの文句もないのですが、多くのアクティブ型投資信託は、インデックスを下回るリターンしか実現できないのが現状でもあります。これではなんのために高いコストを負担しているのか、わからなくなってしまいます。

 

最近の言葉でいえば、「コスパが悪い」のです。選ぶ側が相当しっかり調べないと、投資したあとで「しまった!」ということになりかねませんので、情報収集をして優良なファンドを選ぶ事が重要です。

 

2.そもそもインデックスに連動させることの限界がある

投資信託の多くはインデックスをベンチマークとして、それと同じように動くか、もしくはそれを少しでも上回るリターンが実現するような運用を行ないます。ただ、ベンチマーク至上主義の運用が、果たして正しいのかどうかについては、議論の余地があります。

 

たとえばS&P500が1年間で10%上昇したとします。アクティブ運用は、これに対して11%、12%上昇することを目指します。ベンチマークの上昇率を1%でも上回れば、及第点が与えられるのです。

 

一方、1年間でベンチマークが10%下落した場合はどうでしょうか。この場合、それでもプラスのリターンを実現しろなどとは決していわれません。ベンチマークの下落率である10%に対して、少しでも下落率を小さく抑えられれば、それでよしとされます。たとえば下落率が8%で済めば、「よくやった」と褒められるのです。

 

でも、そのファンドに資金を拠出している投資家からすれば、どうなのでしょうか。いくらベンチマークの下落率よりも、ファンドの下落率を小さく抑えられたとはいえ、1年間で8%のマイナスが生じたのは事実です。

 

一方、パッシブ運用については、投資会社が違ったとしても、ほぼ同じリターンを得ることになります。たとえばS&P500への連動を目標とするタイプの場合、投資会社が違ったとしても、ほぼ同じリターンになります。目標とする株価インデックスが同一であり、どの投資会社も、その株価インデックスに対して運用成績が極力連動するようなモデルを組んで運用しますから、運用成績に大差がつくはずもないのです。

 

したがって、パッシブ運用のファンドを選ぶのは比較的容易で、身も蓋もなくいってしまえば、どの投資会社のファンドを選んでも、ほぼ同じです。

 

アクティブ運用のファンドを選ぶのは難しいとなると、ベストではないかもしれませんが、どの投資会社のファンドを買ったとしても当たり外れが少ないという意味において、ベターな選択肢といえる、というのが今のインデックスファンドだと思います。実際、手数料も低いETFに多くの資金が流入しているのは一定の理由があるということです。

 

 

シデナム 慶子

LUCAジャパン株式会社 代表取締役CEO・共同創業者

 

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※本連載はシデナム慶子氏の著書『投資に必要なことはすべて海外投資家に学んだ』(サンマーク出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

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