アメリカでは、もしもの時の「弁護士」、日々の健康を守る「医師」と並んで、将来の経済的な安心を託す「ファイナンシャル・アドバイザー」が、信頼できる友人として重要視されています。しかし日本では、この「お金の専門家」に対する評価は、残念ながらアメリカほど高くありません。FP(ファイナンシャル・プランナー)資格の取得のしやすさなどが一因として考えられますが、その背景には、日本独特の文化や金融業界の構造的な問題が深く関わっているようです。本記事ではシデナム慶子氏の著書『投資に必要なことはすべて海外投資家に学んだ』(サンマーク出版)より、私たち日本人が資産を築くうえで見落としがちな視点を探ります。

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世界と比較して、日本で個人の投資が「遅れている」理由

なぜ、日本では個人の投資が遅れているのでしょうか?

 

一つには、日本独特の労働観があるように思います。そもそも日本では、投資でお金を増やすことが美徳と思われていないという、いささか文化的な側面が強くあります。私の祖母の世代などは特にその意識が強く、少しでもお金の話をしようものなら、「そんな下品なことはいうな」と、よくいわれたものです。この手の意識が多くの日本人の根っこにあることが投資の知識が広がらない原因のような気はします。

 

もう一つ、別の視点からの問題として金融業界のビジネスモデルがあると思います。日本では、金融商品を提供する事業者としては、証券会社の存在が非常に大きく、本来の資産運用サービスの充実が遅れてきたという事実があります。そもそも証券会社のビジネスモデルは、「ブローカービジネス」(ブローカレッジ)と呼ばれ、顧客が金融商品を売買する売買手数料がその収益となる仕組みになっています。したがって、証券会社はより多くの売買があることが重要となります。

 

このモデルでは、ブローカーが自分の手数料収入を増やそうと思ったら、極端な場合、個人顧客の事情は一切考慮せずに、ひたすら回転売買を勧めるようになります。つまり自分の損得と顧客の損得が相反する、利益相反の関係が強く働いてしまうのです。

 

このような状況で、顧客にとって正しい情報が、しっかり入ってくるのでしょうか? とはいえ他に選択肢があまりない日本にいる方にとっては、「証券会社とはそういうもの、それが当たり前」と考えているかもしれません。

 

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※本連載はシデナム慶子氏の著書『投資に必要なことはすべて海外投資家に学んだ』(サンマーク出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

投資に必要なことはすべて海外投資家に学んだ

投資に必要なことはすべて海外投資家に学んだ

シデナム 慶子

サンマーク出版

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