右肩上がり消費者物価指数とは裏腹に診療報酬はマイナス成長
今日の医薬品不足の元凶を探るために、ここまでは診療報酬の薬価部分に注目してきました。診療報酬全体としても、過去四半世紀にわたって改定率プラス1%未満に抑えられ続けてきたことは、わが国の医療にさらに深刻なダメージを与えています。
診療報酬は2年ごとに改定されるのですが、過去14回の改定率の推移を見ると、前回よりプラス改定だったのは2000年、2010年、2014年の3回だけ。改定率が最も高かった2000年改定でさえ、プラス0.2%でした。
一方、残り10回はマイナス改定で、1998年のマイナス1.3%、2002年のマイナス2.7%、2006年のマイナス3.16%など、下げ幅のほうが断然大きいことが分かります。
【図表1】は、過去30年の消費者物価指数の推移を表したグラフです。この間、日本経済はずっとデフレ基調だったので、物価上昇率もそれほど高くありませんが、全体として右肩上がりであることはグラフからも見て取れます。特に2021年の後半からは、新型コロナやロシアのウクライナ侵攻の影響で国際的な原材料価格が上昇し、さらに円安圧力も加わって明らかに物価高の局面に入っています。
ところが、診療報酬は2022年度マイナス0.94%、2024年度マイナス0.12%と、いまだにマイナス成長が続いているのです。この改定には明らかに、「医療費は何がなんでも抑制する」という、国や財務省の強い意志が感じられます。
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