税務調査官に「経費の水増し」がバレたワケ
Aさんは、実際には副業の業務すべてを自身で行っていたにもかかわらず、知り合いのBに外注を依頼したとして、架空の領収書を作成。それを外注費として外部に依頼しているように見せかけ、架空の外注費300万円を計上していました。
税務調査が来た年のAさんの申告内容は下記のとおりです。
・売上:400万円
・外注費:300万円
・その他経費:100万円
・利益:0円
税務署はこの申告書を見て「利益が0円というのは本当だろうか?」「外注費があまりにも多すぎるのではないか?」と疑問を抱きます。
そして、外注先となっているBさんの確定申告書をチェックしたところ、Bさんが会社員であることがわかり「これは怪しい」とAさんへの税務調査を行うことを決断したのでした。
人生を棒に振る…脱税の代償
追徴課税の理由が単純なミスや見解の違いであれば「過少申告加算税(10%~15%)」で済みますが、意図的に事実の隠ぺいや仮装などを行ったと判断された場合は「重加算税(35%~40%)」となります。このほか、延滞税が原則7.3%~14.6%(現在は特例利率2.4%~8.7%)を課されます。
また、税務調査対象者は通常3年分の申告内容がチェックされます。しかし、今回のように悪質な脱税が疑われる場合、調査期間は最大7年まで延長されます。
そして、それぞれの年について調査が行われたあと、追加で所得税を払うことはもちろん、税務調査の結果は市役所にも通知され、住民税や個人事業税、健康保険料まで過去にさかのぼって支払う必要があるのです。
こうした不正について税務署のチェックは年々厳しくなっており、バレたときのペナルティはその後の人生を大きく揺るがしかねません。そもそも、経費を架空計上して脱税をはかる行為は立派な犯罪です。
「つい、出来心で……」という言い訳は通用しません。脱税は絶対にやめましょう。
脱税に手を染めず“合法”で節税対策を
所得が高くなるほど“重税感”を覚え、なかには「どうにか納税額を抑えられないか」と脱税したくなる衝動に駆られる人も少なくないかもしれません。ただし、売上を除外したり、架空経費を計上したりした場合、あとになって重いペナルティを背負うのは自分です。
税務署もあの手この手で納税者の所得の把握に努めています。安易な脱税に手を染めず、“合法的な節税”によって適正な申告を心がけましょう。
宮路 幸人
宮路幸人税理士事務所
税理士/CFP
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