「医師中心」「病院都合」の考え方がトラブルの元になる
予防医療のなかでも任意の健診である人間ドックは、基本的に費用は全額自己負担になります(健康保険組合や自治体により、人間ドックの費用が補助される場合もあります)。
費用は施設によって異なりますが、私の病院の例でいえば、日帰りコースの人間ドックで1回の費用は4万円前後です。1泊コースでは5万~6万円、最も精密な検査を行うプレミアムコースでは10万円を超えます(2024年8月現在)。
これだけの費用を負担して自身の健康状態を管理するのは、非常に健康意識の高い人たちです。そのため検査に積極的であり、施設や医療職に対しても高い水準のサービス対応を求める傾向があります。
特に忙しく働く現役世代の人たちは、検査の待ち時間1つとっても非常にシビアです。検査が混み合っている状況では、長い待ち時間にいら立った受診者が、職員に「まだか」「順番は自分が先のはずだ」などと詰め寄る例もありました。
そういう受診者に対して「混んでいるのだから、待ち時間が長くても仕方がない」と、一般病院に勤務する医療従事者にありがちな感覚で対応すれば、クレームに発展するのは当然です。
さらに、本人に結果を通知するタイミングや、検査結果の内容も重要でした。結果の通知が遅くなれば「結果はまだか」という問い合わせにつながりますし、また、検査結果がわかりづらければ、それも不満となります。
健診を受けた人は、自分の健康状態について普段以上に関心が高まっています。健康な人でも、「去年は検査値に問題なかったけれど、今年はどうだろう」と考えますし、前年に異常を指摘された人は「数値が悪化していないといいが」と気にしています。
高まった健康への関心に対して迅速に検査結果の通知を行い、適切なタイミングで健康増進のためのアドバイスや提案をすることも必要で、単に「結果が出ました」だけでは不十分なのです。
予防医療サービスを継続的に行っていくためには、医療機関はさまざまな年齢・立場の「健康な人」に対して、医療に関する十分な知識はもちろん、「サービス」としての接し方や対応が求められます
鈴木 隆二
消化器外科医
医療法人社団筑三会筑波胃腸病院理事長
医学博士
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