常に「第三者からどう思われたいか」を考える
前回お話ししたフラッグシップマーケティングとともに、もう1つ念頭に置いておきたいのがセルフブランディング。自己をブランド化する。この言葉を説明するのはたやすいことではないですが、要するに「第三者からどう思われたいか」を常に考えておくことです。
企業の観点でいえば、ブランディングできているところとそうでないところでは、利益の生み出し方に大きな違いが出ています。
ブランディングできていない企業は、自分から営業して広告を出さないと、仕事を獲得することはできません。一方、ブランディングできている企業は、営業や広告を大々的に打ち出さずとも、継続的にオファーを受けることができます。
たとえば、いまから160年も前、ルイ・ヴィトン(1821〜1892年)は旅行カバンを製造する事業からスタートし、いまもなおそのコンセプトをずらさず、頑丈で旅行に適した物づくりに軸を置いています。長きにわたって熟成したブランディングは多くの人たちの心をつかんで離しません。「旅行カバンを選ぶならまずヴィトン」という固定客を獲得することができているのです。
個人におけるセルフブランディングも、本質的な部分は同じです。
役者さんでたとえるなら、いつでも主役を張る華やかな人もいれば、その主役を引き立てる名脇役と呼ばれる人もいます。別に自分から「私は脇役に適しています」とアピールしたわけではありません。過去の累々と重ねた実績からブランディングされていき、自然と周りが「あの人は名脇役だ」と言うようになったのです。
ブランディングが完熟すると、「主役を引き立ててくれる脇役はいないか」「そうだ、名脇役といえばあの人がいるじゃないか」と、自分から動かずともオファーが来るようになる、というわけです。
ここだけは譲れないという「信念」をもとに行動
ビジネスを継続的に続けていきたいなら、まずは第三者にどう思われたいかのセルフブランディングを意識しておきましょう。
「何でもできます、任せてください!」だと、万能感を与えているように見えて、じつは薄い印象しか与えることができていません。
セルフブランディングとは、1つのこだわり。ここだけは譲れないぞ、という揺るぎない信念をもつこと。
「最低でも○万円からしか仕事を引き受けない」
「こういうコンセプトで仕事をしている」
「こういうところでしか食事をしない」
「金額では動かない」
そういったぶれない軸足を置いておくのです。
私のセルフブランディングは、「世界を旅しながらビジネスしている人」という印象を与えることからはじまりました。
海外で仕事をしたり余暇を満喫しているところを見せることで、自然と同じような人が集まり、「海外に精通しているから」「広い目をもっているから」「行動力がハンパないから」といったきっかけから、私を選んで仕事を依頼してくださる人が増えていきました。
フラッグシップマーケティングが自ら大々的に旗を振るようにしてアピールするのに対し、セルフブランディングは内に秘めておく信念です。相手に「そこはかとなく」伝わることがベスト。信念を相手に押し売りするようなことは、絶対しないようにしましょう。