税務調査官「この車いいですね」…年商1億円の59歳社長が税務署に目をつけられた“社用車のベンツ”業務で使用も〈追徴税〉を課された理由【税理士が警告】

税務調査官「この車いいですね」…年商1億円の59歳社長が税務署に目をつけられた“社用車のベンツ”業務で使用も〈追徴税〉を課された理由【税理士が警告】
(※写真はイメージです/PIXTA)

税法上、社用車がベンツやポルシェ、フェラーリなどの高級車であっても、正当性が認められれば経費に計上することが可能です。ただし、たとえ業務に使用している場合であっても「追徴税」が課されるケースも……。税理士でCFPの宮路幸人氏が具体的な事例を交えながら、経費計上のポイントと税務調査での正しい対処法を解説します。

個人事業主ならOKだった?「社用車」の考え方

法人名義の車は、原則として個人で利用することを認められていません。法人名義であるからには、その車は仕事に必要なものとして所有する車となります。

 

そのため、業務に必要な車両の購入費や駐車場代、ガソリン代、税金や保険料などの費用であれば、経費計上が可能です。また普通車(新車)の場合、減価償却費として6年にわたり経費に計上することができます。

 

個人事業主の場合、個人名義の車を仕事とプライベートの両方で使うことが多く、仕事で使った割合だけを経費とする家事按分が認められています。しかし、法人は個人事業主のような家事按分という考え方は基本的にありません。法人名義の車は業務で使用することが目的であって、個人使用は想定されていないのです。

 

同族経営などの企業の場合、プライベートで利用したいケースもあるでしょうが、個人的な理由で利用していた部分については税務調査で否認されることとなります。

 

したがって、今回のように社長が社用車を個人的に利用している場合、社長が車の利用料として「月〇万円」といったように、毎月一定額を会社に支払うなどの方法が考えられます。

 

フェラーリが社用車として認められた事例も

従来、高級車のなかでもランボルギーニやフェラーリ、ポルシェなどのスポーツカーは「経営者の趣味である」と判断され、社用車としては認められないとされてきました。

 

そのため、高級車の取得価を経費計上した場合、税務調査で否認されるケースが少なくありませんでした。

 

しかし、1995年に国税不服審判所の審判において、「フェラーリ」が社用車として認められた事例があります。

 

走行状況から、そのフェラーリが代表者の通勤時や支店巡回時のみに使用されており、旅費や通勤手当なども支給されていないことから事業用に使用していると考えられるとし、また代表者は個人として別の高級車も複数台所有しており、それらの費用は経費には反映されていないことも確認できたことが裁決の理由です。

 

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