社員が理解しやすい経営理念を
経営理念のつくり方について書かれた本や他社の経営理念から学べたことは、それらが参考にはならないということです。経営理念は単なるノウハウや形式でつくれるものではなく、表面的な言葉や儒教から借りた格好だけのものでは意味がありません。
何よりも大切なのは、まずはつくる本人が自分の本心を書くこと、そしてそれが社員の心に響き、共に共有できるものでなければならないということです。
そこで、私は「自分の言葉で伝えること」「嘘をつかずに思ったことを正直に書くこと」、そして何より「社員が理解しやすいこと」を大切にしようと決めました。難解な表現や抽象的な理念ではなく、社員全員が読み、すぐに意味が分かるものにしたかったので す。
こうして経営理念の制定に踏み切り、分かりやすい言葉で、誰もが納得できる内容を心がけました。私の掲げる経営理念は「社会貢献」を掲げたのは、製造業が世のためにものをつくり、社会に貢献することを根幹の使命と考えているからです。
製造業に携わる者として、日々の仕事が社会的価値を生むものだと信じています。これにより、社員全員が仕事を通して社会貢献の意識をもち、社会の役に立っているという誇りを感じながら働ける環境を目指しています。
次に「社員が成長できる環境」を挙げています。社員は人生の多くの時間を会社で過ごします。その会社が社員の成長を促し、自己実現を応援する場であるべきだと考えたのです。会社が個々の社員の成長に対して真摯に向き合うことが、組織の活力を生むと私は思います。
成長の機会がなければ、仕事は単なる作業と化し、働く意義や誇りが失われます。だからこそ、社員が会社で成長を実感できる環境をつくることが重要だと考えこの言葉を入れました。
「環境の創造」については、これは社長としての自分の役割だという思いから入れています。社長は組織の風土や環境づくりを担うべき存在であり、社員が自分自身のペースで能力を発揮できるようにサポートする責任があります。「社員が成長しやすい環境を整える」ということが、社長としての役割であり、果たすべき大きな責任だと考えています。
経営理念はこのほか自分が会社を経営するうえで信条にしている、「会社存在意義」「社員存在意義」「行動指針」の3つも掲げています
平井 康介
株式会社セック
取締役社長
