今回の事例が特殊なだけでは?→税理士の回答
とはいえ、
「日本の税務署が国外にある財産に気づかないのでは?」
「こちらから税務署に申告しなければわからないのでは?」
と考える人も多いでしょう。
たしかに過去にはそういう時代があったかもしれませんが、富裕層などによる海外投資が増えたことにより、国税庁も海外資産の把握に近年は力を入れています。
当局は海外資産を確認するために、海外資産調書制度のほか、国外送金等調書や国外証券移管等調書、CRS(交通報告基準)に基づく自動的情報交換制度など、さまざまな仕組みを作っています。そのため、国外に財産を移せば課税を逃れることができるというのは安易で危険な考えです。
意図的に財産を隠した場合、悪質とみなされて「重加算税」という重いペナルティを支払うことにもなりかねません。
富裕層だけの話ではない…相続の際は「海外資産」にご用心
平成27(2015)年より相続税の基礎控除が引き下げられて以来、相続税の申告対象者が倍増しています。
国税庁が令和6年12月に公表した「令和5年分相続税の申告事績の概要」によると、相続税の申告対象者は9.9%と、約10人に1人の割合です。
地価の高い都心に自宅がある場合などは、それだけで相続税の申告対象者となる人もいます。
また、コロナ禍で減った相続税調査も、近年また積極的に行われるようになっています。
「ウチは大丈夫だろう」とは思わず、相続があった際には海外資産やネット口座などのデジタル資産の申告も漏れないようにご注意ください。
さまざまな仕組みによって税務署が海外資産を把握できる体制が昔よりもはるかに整えられています。申告の際は気をつけましょう。
宮路 幸人
宮路幸人税理士事務所
税理士/CFP
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