今回は、なぜ企業や自治体は「アイデアソン」に惹かれるのか、その理由を探っていきましょう。※本連載は、コミュニティデザイナーとして活躍する須藤順氏と、エイチタス株式会社の代表取締役である原亮氏の共著、『アイデアソン!アイデアを実現する最強の方法』(徳間書店)の中から一部を抜粋し、アイデアソンの概要と、アイデアソンを実際に取り入れたことで、企業にどのような好影響が表れたのかを紹介します。

「代わり映えしない会議を活性化させたい」

前回までは、アイデアソンがどのような人や組織に注目され、活用されてきたのかを、ハッカソンとの関連を中心に見てきた。

 

では、そうした人々がアイデアソンに惹かれているのは、どのような理由によるものか。以下に挙げるそれぞれの期待は、裏返すとアイデアソンが抱える課題にもつながるが、まずは期待のありかとして探ってみよう。

 

<“いつもの人”の“いつもの会議”から脱却したい>

 

アイデアソンを行う側には、場がオープンであることや、参加者の多様性があることへの期待がある。企業主催の場合、主催者が求めるのは、社外から集う参加者による独創的なアイデアだ。

 

社内のみでアイデアを出し合っても、お互いが同じ組織風土で、似たような視点を持っているため発想に限界を感じ、過去と代わり映えしない落としどころしか見出せない。そこに一般のクリエーターやユーザーにあたる人々を交えることで、社内だけでは見えなかった視点やアイデアを得ようとする。

 

また、メソッドで得られる効果もある。単に多様な人が集まって会議を行うだけでは、議論を重ねても結論を得られないことが予想される。アイデアソンでは、アイデアを出すさまざまなメソッドを用いるため、意外性のあるアイデアをスピーディかつ大量に得ることができる。

 

そうしたメソッドは日々進化しており、目的に合わせた組み立てを自由に行うことができるのも、アイデアソンが持つ魅力の1つだ。

 

短時間で大量のアイデアを生み出すメリットは大きい

アイデアソンでは、多くの場合、参加者のアイデアが1枚1枚、シートにまとめられる。様式に従ったアイデアのスケッチが大量に出ることで、成果物を得られるという安心感がある。

 

数よりも中身が肝心であるという意見はあるものの、場に集まった人々が考えていることが、短時間である程度まで可視化されることの利点は大きい。

 

アイデアとは、実現させたい未来のスケッチである。玉石混淆のアウトプットの中から、実現に向けて具体的に検討できるものが見出せれば、そのアウトプットが次の共創の場へのバトンになる。

サラリーマンを「副業」にしよう

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俣野 成敏

プレジデント社

「老後2000万円問題」「働き方改革」「残業規制」…等々。政府も会社も「自助努力でなんとか生きよ」と突き放す中、コロナ・ショックによる「リストラ」が、さらに追い討ちをかけています。一方で、自己責任の名のもとに「副業…

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