「代わり映えしない会議を活性化させたい」
前回までは、アイデアソンがどのような人や組織に注目され、活用されてきたのかを、ハッカソンとの関連を中心に見てきた。
では、そうした人々がアイデアソンに惹かれているのは、どのような理由によるものか。以下に挙げるそれぞれの期待は、裏返すとアイデアソンが抱える課題にもつながるが、まずは期待のありかとして探ってみよう。
<“いつもの人”の“いつもの会議”から脱却したい>
アイデアソンを行う側には、場がオープンであることや、参加者の多様性があることへの期待がある。企業主催の場合、主催者が求めるのは、社外から集う参加者による独創的なアイデアだ。
社内のみでアイデアを出し合っても、お互いが同じ組織風土で、似たような視点を持っているため発想に限界を感じ、過去と代わり映えしない落としどころしか見出せない。そこに一般のクリエーターやユーザーにあたる人々を交えることで、社内だけでは見えなかった視点やアイデアを得ようとする。
また、メソッドで得られる効果もある。単に多様な人が集まって会議を行うだけでは、議論を重ねても結論を得られないことが予想される。アイデアソンでは、アイデアを出すさまざまなメソッドを用いるため、意外性のあるアイデアをスピーディかつ大量に得ることができる。
そうしたメソッドは日々進化しており、目的に合わせた組み立てを自由に行うことができるのも、アイデアソンが持つ魅力の1つだ。
短時間で大量のアイデアを生み出すメリットは大きい
アイデアソンでは、多くの場合、参加者のアイデアが1枚1枚、シートにまとめられる。様式に従ったアイデアのスケッチが大量に出ることで、成果物を得られるという安心感がある。
数よりも中身が肝心であるという意見はあるものの、場に集まった人々が考えていることが、短時間である程度まで可視化されることの利点は大きい。
アイデアとは、実現させたい未来のスケッチである。玉石混淆のアウトプットの中から、実現に向けて具体的に検討できるものが見出せれば、そのアウトプットが次の共創の場へのバトンになる。