「金融資産の保有なし」は全年代で36%も…バランスが大切
Aさんの場合、ほんの少しの気遣いや支出をすることへの寛容さがあれば、事態は変わっていたでしょう。お金を貯めること自体は決して悪いことではなく、早く資産形成することは先々の金銭的不安の解消につながります。
Aさんのように資産形成をできている人はそれほど多くありません。金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(令和5年)」によると、「金融資産を保有していない」と答えた人はAさんと同年代の30代で34%。全年代でも36%で、3割以上が資産ゼロという状況です。
もう少し細かく、金融資産を保有していない世帯を含む、単身世帯の資産額の平均値及び中央値は以下の通り。平均値は著しく大きな数字があると引っ張られて高くなるため、中央値も併せて見ることが必要です。
〈単身世帯の資産額「平均値」/世帯主の年代別(金融資産を保有していない世帯を含む)〉
20歳代:121万円
30歳代:594万円
40歳代:559万円
50歳代:1,391万円
60歳代:1,468万円
70歳代:1,529万円
〈単身世帯の資産額「中央値」/世帯主の年代別(金融資産を保有していない世帯を含む)〉
20歳代:9万円
30歳代:100万円
40歳代:47万円
50歳代:80万円
60歳代:210万円
70歳代:500万円
このデータによれば、Aさんと同じ30代の保有資産額は平均が594万円、中央値だと100万円ということがわかります。
思ったよりも多いと感じたか、少ないと感じたか。それは人それぞれです。ただ貯蓄は少ないよりも多いほうが、生活への不安が少なくなることは間違いありません。
とはいえ、過剰にお金のことばかりを考え、貴重な時代を貯蓄や節約に捧げ、友人を失ってしまう……そんなことにならないよう、バランスを考えた方がよさそうです。
【参考】
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]」令和5年調査結果
https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/tanshin/2023/
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