母の介護、想像以上の負担に悲鳴
生活の変化はある日、唐突に始まりました。82歳になった母が玄関先で転倒。太ももを骨折(大腿骨頸部骨折)したことにより手術をすることに。高齢のため入院期間はリハビリ期間も含めて2ヵ月以上に。
その間、A子さんはパートを遅刻・早退しながら、必要なものを届けたり、手続きをしたり、様子を見たりと母の世話に奔走しました。
退院後、母は杖などの支えがなければ歩けない状態に。洗濯や料理など日常生活も危なっかしい状態で、A子さんはパートの勤務を減らして、週の半分を実家で過ごすようになりました。
「一人の人を世話することが、こんなに大変だとは……」
元気だった母が弱っていく姿を見るのは、精神的にもこたえました。自分の家にいる夫や子どもの世話は手薄になり、日々の生活が母中心に回るように。
退院する際に病院から勧められ要介護認定の申請をすると、母は要介護2と認定されました。介護サービスも利用できますが、入浴などは「他人の世話になりたくない」と母が断固拒否。結局A子さんが介助していました。
そんな中、兄と妹が母の様子を見に来たのは、入院時に1度きり。「大変だったね」「生きててよかったよ、お母さん」……口ではそう言いながら、2人は日帰りで帰っていきました。
