今回は、賃貸経営における「借金以外の資金調達」と「経費削減」の具体策を見ていきます。本連載は、株式会社タカ・コーポレーション代表取締役、中村 隆氏の著書『続・究極の不動産投資術』(株式会社タカ・コーポレーション)の中から一部を抜粋し、不動産の購入から、入居者募集、物件の維持管理まで、「究極の不動産投資術」の具体的な内容を解説します。

「家賃前払いキャンペーン」で70万円の資金調達に成功

自己ファイナンスとはどういう意味でしょう? 皆様も一緒に考えてみてください。私はマンションの入居者が卒業して一斉に出て行った3月にクロス張り替え、クローゼット設置、部屋のクリーニング等でお金がかかった時、実際に自分で考え実行に移しました。それで実際に資金を調達してこれで業者に4月に全額支払うことができました。やはり人間考えるといろいろ頭にいいアイデアが浮かぶものですねと自分でも感心した程です。

 

この自己ファイナンスとは簡単に言うと借金の自賄いです。これは私が考案しました。これで実際70万円の資金調達に成功しました。その代わり2万4000円の商品券が要りました。この考案したアイデアをここで皆様に惜しげもなく公開します。

 

これは家賃の前払いキャンペーンを自分で考えてしたものです。ワードでキャンペーンの内容と商品券を印刷して新入学生20人に送ったのです。内容は「皆様の利便性を考えた結果まとめて一年分一括で家賃を振り込んでいただいた場合はⅤⅠSAの商品券をプレゼント致します。三井住友銀行が近くになくて振り込みするのが大変不便な方や振り込み手数料が高くて負担の多い方用に考えました」と書きました。1年分前払いで1万2000円の商品券を送りました。そうしたら2人の方が前払いされましたので2万4000円になったわけです。

 

家賃の前払いは大家にとっても、学生の親御さんにとっても便利です。このキャンペーンをしていない時でも家賃を9カ月分送金してくれる方もいらっしゃいます。まとめて送金する方が毎月するよりも手間がかからないのでしょう。

 

皆様も家賃の前払いキャンペーンをして資金調達してみてください。ただし、早くもらい過ぎて浪費してしまってはなんにもなりません。私はこの手紙をマンションの学生に出すのではなく、家賃を実際に毎月送金している学生の親御さんに出しました。

 

あなた独自のアイデアで何かキャンペーンを考えてみて実行してみてはいかがでしょうか。何らかの反響があれば勉強にもなって経営感覚もとぎ澄まされますよ。

廊下へのLED照明と自動スイッチ導入で電気代を節減

リーマンショックのあった2008年11月にタカ・コーポレーションは経費削減に着手しました。

 

小山市のマンションの内廊下の蛍光灯がよく切れていました。この30本すべてを10年間切れない東芝のLED照明に替えました。それによって電気代が7分の1になり、4万時間長持ちするので大いに節約できます。10年間取り替えが要らないということは、手間暇もかからずに経費も削減できるのです。

 

次に内廊下のLED照明が24時間点けっぱなしになっていたのを夜だけ照明が点くようにしました。電気代がまた半分になりました。

 

松下電工のEE4413キロパナソニック住宅用EEスイッチを3台購入しました。これは外の明かりをセンサーが感知してスイッチが作動するものです。暗くなれば自動点灯して、明るくなれば自動消灯してくれる優れものです。全部で約40万円費用がかかりました。しかし毎月電気代が1万8000円安くなっているので3年で元はとれます。かつ電球が切れることがないので安心できます。1日中電気が点きっぱなしになっている場合は、センサーだけでもつけたら昼間の電気代が浮き半額になりますので、ぜひ参考にしてください。

家賃の値下げと引き換えに、毎日の清掃を入居者に依頼

部屋の清掃費についても経費削減しました。業者に任せていたものを12月から自賄いにして自分で清掃することにしました。これが一番の経費削減効果があります。皆様も経費削減できるところをぜひ探しましょう。経費削減はプラスのキャッシュフローを生みだします。

 

それは毎日必ず清掃してくれるシステムです。小山市のマンションにそのシステムを導入しました。驚くなかれ仕事が清掃という60歳の女性に入居してもらいました。マンションの玄関の入居者募集のポスターを見て入居したいと私の携帯電話に電話がありました。

 

よくよく聞くとその方は掃除が大好きとのことでした。家賃を普通より値下げするかわり、毎日ポスト周辺の清掃、ポストの上にチラシ、ペットボトルがあればそれを掃除してもらうことと、週1回の廊下の清掃と玄関前の花に水をやることを頼みました。快く引き受けてもらいました。非常に助かっています。もうこの人なしではやっていけなくなるほど助かっています。

 

基本的には若い人中心に入居者を募集していたので普通ならお断りしますが、掃除をしてくれると聞いたので入居してもらったわけです。当然今まで週2回清掃を頼んでいた業者はお断りしましたのでここでも経費削減できたのです。このマンションには女性の方にもっと入ってもらおうと玄関に花を鉢に入れて飾ってあります。小山市まで私が毎日行って水をあげることなどできないことを考えれば感謝しても感謝しきれません。

 

お礼にカラーテレビを差し上げました。はたかた見たら管理人さんのようです。皆様ももしアパート・マンションの入居者でお掃除好きの方やバイト感覚でやってもいいよという方がいましたらぜひ頼んでみるのもいいと思います。そうすれば正に自動運転できているマンションになります。ここまでくると月1回行って花の入れ替えと掃除をやるくらいで済みます。そしてお掃除をしてくれている女性に何かお土産をもっていきコミュニケーションをとって何か変わったことはないか聞くだけでいいのです。本当にいい人が見つかりました。

本連載は、2012年3月20日刊行の書籍『続・究極の不動産投資術』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

続・究極の不動産投資術

続・究極の不動産投資術

中村 隆

株式会社タカ・コーポレーション

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