フィリピン中銀、市場予測を覆し「金利据え置き」も「2025年中の利下げ」を示唆

3月3日週「最新・フィリピン」ニュース

フィリピン中銀、市場予測を覆し「金利据え置き」も「2025年中の利下げ」を示唆
写真:PIXTA

一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏がフィリピンの現況を解説するフィリピンレポート。今週はフィリピンの最新の為替・金利の動向について解説します。

BSP・レモロナ総裁「FRBの動きに追随する必要はない」

BSPのレモロナ総裁は、BSPはFRBの動きを注視しているものの、必ずしもそれに追随する必要はないと述べています。FRBは1月の会合で金利を据え置いており、2024年には合計1%の利下げを実施しました。FRBは2024年9月に金融緩和を開始しましたが、BSPはそれに先立つ8月に利下げを行っています。

 

HSBCは、より弱い通貨がフィリピン経済の貿易競争力を高める可能性があると述べています。フィリピン統計庁の最新データによると、2024年のフィリピンの貿易赤字は3.1%拡大し、542億1,000万ドルとなり、過去2年以上で最大の貿易赤字を記録しました。これは、2024年の輸出額が前年比0.5%減の732億1,000万ドルにとどまり、政府が予測していた4%成長に届かなかったことが一因です。

 

また、競争力のある通貨が製造業の発展にも寄与すると指摘しています。一方で、フィリピンの主要輸出品である電子製品は2024年に大きく減少しました。電子製品の輸出額は前年比6.7%減の390億8,000万ドルとなり、特に半導体輸出は13.5%減の291億6,000万ドルとなりました。

 

さらに、サービス輸出も伸び悩んでおり、ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)関連の輸出は成長を続けているものの、観光関連の輸出は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)以前の水準を維持できていません。フィリピンは観光客の増加だけでなく、1人当たりの支出を増やす施策も必要であると指摘されています。

 

世界貿易の不確実性のなかで、投資の低迷が経済成長を抑制する可能性があります。ただし、HSBCは政策金利差の縮小や為替変動の抑制は「ゆっくりと段階的に進めることが重要である」と強調しています。急激な緩和策をとれば、為替市場の過度な変動を引き起こし、通貨の急落によるインフレリスクや企業の財務健全性への悪影響をもたらす可能性があるためです。

 

それでも、HSBCはフィリピン経済がペソの変動によるインフレ圧力を吸収する余地があると述べています。現在、コアインフレ率は目標範囲内に収まっており、BSPは一定の為替変動によるインフレを許容できる状況にあると指摘しています。よりタカ派的なFRBの政策はフィリピンの金融政策にリスクをもたらす可能性があるものの、BSPは今後、為替の変動に対してより寛容になり、FRBが金利を据え置いても独自に緩和政策を進める可能性があるとしています。

※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
※当記事に基づいて取られた投資行動の結果については、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティング、幻冬舎グループは責任を負いません。
※当記事の比較するターゲット株価は、過去あるいは業界のバリュエーション、ディスカウントキャッシュフローなどを組み合わせてABキャピタル証券のプロアナリストが算出した株価を参考にしています。

カインドネスシリーズを展開するハウスリンクホームの「資料請求」詳細はこちらです
川柳コンテストの詳細はコチラです アパート経営オンラインはこちらです。 富裕層のためのセミナー情報、詳細はこちらです 富裕層のための会員組織「カメハメハ倶楽部」の詳細はこちらです 不動産小口化商品の情報サイト「不動産小口化商品ナビ」はこちらです 特設サイト「社長・院長のためのDXナビ」はこちらです オリックス銀行が展開する不動産投資情報サイト「manabu不動産投資」はこちらです 一人でも多くの読者に学びの場を提供する情報サイト「話題の本.com」はこちらです THE GOLD ONLINEへの広告掲載について、詳細はこちらです

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録