BSP・レモロナ総裁「FRBの動きに追随する必要はない」
BSPのレモロナ総裁は、BSPはFRBの動きを注視しているものの、必ずしもそれに追随する必要はないと述べています。FRBは1月の会合で金利を据え置いており、2024年には合計1%の利下げを実施しました。FRBは2024年9月に金融緩和を開始しましたが、BSPはそれに先立つ8月に利下げを行っています。
HSBCは、より弱い通貨がフィリピン経済の貿易競争力を高める可能性があると述べています。フィリピン統計庁の最新データによると、2024年のフィリピンの貿易赤字は3.1%拡大し、542億1,000万ドルとなり、過去2年以上で最大の貿易赤字を記録しました。これは、2024年の輸出額が前年比0.5%減の732億1,000万ドルにとどまり、政府が予測していた4%成長に届かなかったことが一因です。
また、競争力のある通貨が製造業の発展にも寄与すると指摘しています。一方で、フィリピンの主要輸出品である電子製品は2024年に大きく減少しました。電子製品の輸出額は前年比6.7%減の390億8,000万ドルとなり、特に半導体輸出は13.5%減の291億6,000万ドルとなりました。
さらに、サービス輸出も伸び悩んでおり、ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)関連の輸出は成長を続けているものの、観光関連の輸出は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)以前の水準を維持できていません。フィリピンは観光客の増加だけでなく、1人当たりの支出を増やす施策も必要であると指摘されています。
世界貿易の不確実性のなかで、投資の低迷が経済成長を抑制する可能性があります。ただし、HSBCは政策金利差の縮小や為替変動の抑制は「ゆっくりと段階的に進めることが重要である」と強調しています。急激な緩和策をとれば、為替市場の過度な変動を引き起こし、通貨の急落によるインフレリスクや企業の財務健全性への悪影響をもたらす可能性があるためです。
それでも、HSBCはフィリピン経済がペソの変動によるインフレ圧力を吸収する余地があると述べています。現在、コアインフレ率は目標範囲内に収まっており、BSPは一定の為替変動によるインフレを許容できる状況にあると指摘しています。よりタカ派的なFRBの政策はフィリピンの金融政策にリスクをもたらす可能性があるものの、BSPは今後、為替の変動に対してより寛容になり、FRBが金利を据え置いても独自に緩和政策を進める可能性があるとしています。
