自動車・電気機器・不動産分野などで深刻な打撃
国家経済社会開発委員会(NESDC)によると、タイの製造業は2023年に2.7%減少、2024年も0.5%縮小した。特に資本・技術集約型産業は、2023年第4四半期に5.4%減少(第3四半期は2.9%減少)し、自動車、トレーラー、電気機器、輸送機器の製造業が大きく落ち込んでいる。
一方、タイの輸出は2023年に4.3%増加した(2022年は2.6%減少)。ピヤサック氏は、製造業の縮小とは対照的に輸出が成長している点を指摘し、「中国企業がタイを経由して米国市場に製品を輸出している可能性がある」と分析している。中国企業は製品にわずかな改良を加えることで、タイを経由して米国向けに輸出している可能性があり、その結果、タイは中国との貿易赤字が拡大し、米国とは貿易黒字を維持する状況になっている。
最近、米国のドナルド・トランプ大統領は「相互関税制度」を導入し、自国製品に関税を課す国に対し、報復関税をかける方針を発表した。トランプ氏は「第三国を経由した輸出も認めない」と強調しており、今後、タイ経由の輸出にも影響が及ぶ可能性がある。現在、タイの対米関税率は8%であるのに対し、米国の対タイ関税率は2%にとどまっている。
また、タイ国内の商業銀行は、自動車や住宅購入向けの融資に慎重な姿勢を取っており、自動車、鉄鋼、不動産分野への貸し出しは減少している。これが、国内の製造業と不動産市場のさらなる悪化を招いている。
中小企業支援の必要性……工場閉鎖が労働市場に与える影響
タイの製造業が中国企業と競争するのは困難であるため、中小企業が生き残るための支援策が求められる。ピヤサック氏は、「融資支援を強化し、中央銀行は現在の厳格な金融政策を見直すべきだ」と提言する。一方、カシコン・リサーチセンターは、「産業構造の再編が必要だが、これは容易ではない」と指摘している。
大量の工場閉鎖は労働市場にも影響を及ぼす。労働者の受け皿はあるものの、多くが低賃金の職に就かざるを得なくなる可能性が高い。結果として、全体的な所得が減少し、消費の低迷につながる。
また、企業の多くが労働時間や残業時間を削減し、コストを抑えようとしている。この傾向が続けば、労働者の収入が減少し、消費支出のさらなる低下を招く恐れがある。
【注目のセミナー情報】
【資産防衛】10月14日(水)
約30年ぶりの世界的金利変動が生み出した
新たな「お宝保険」の全貌
【実物資産】10月24日(土)
「日本刀投資」は他の実物資産と何が違う?
希少性・鑑定・保存状態…「価値」を見極め方を解説
【不動産オーナー向け】10月29日(木)
<会員限定セミナーの特別版を一般公開>
金利上昇局面の今こそ知っておきたい!
「不動産×金融資産」の最適バランスと投資税務
【関連記事】
■月20万円もらえるはずが…45歳・サラリーマン「ねんきん定期便」に抱いた違和感。「年金ルール」知らずにそのまま20年…65歳で受け取ることになる年金額に唖然「何かの間違いでは?」
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

