相続させたくない相続人がいる場合の相続
波平は先日、カツオが「僕には現金でお願いね。」と軽口を叩いていたことを思い出し、カツオの日ごろの行いが頭をよぎります。
借金を抱えながら遊び歩き、家族の集まりにも顔を出さず、たまに来たかと思えばお金の話ばかり。
「全く……あいつに財産なんて渡したら、無駄遣いするだけではないか。」波平は深くため息をつきながらつぶやきました。
隣からフネが顔を覗き「お父さん、どうされたのですか?」
「カツオに財産を残すべきかどうか考えていてな……。あれではサザエやワカメに申し訳が立たん。」
フネは静かに頷いて言いました。「それなら、遺言を作るべきですね。お父さんの考えをきちんと残しておけば、後でみんなが困りませんからね。」
波平は真剣な表情で頷きました。「そうだな……ワシが今のうちに決めておかねば、カツオが何か問題を起こして家族が苦労するのは目に見えておるな。」
相続では、親が自分の財産を渡したくない相続人がいるケースもあります。このような場合、遺言を残しておくことが重要です。
日本では、子どもには「遺留分」という最低限の取り分が保証されていますが、遺留分を考慮したうえで相続財産の分配を考えることが、遺言によって可能になります。
波平が「世田谷の家はフネに相続させ、サザエとワカメにはそのほかのすべての財産を二分の一ずつ相続させる」と明確に指示しておけば、カツオには遺留分しか渡らなくなります。
長谷川裕雅
永田町法律税務事務所代表
終活コンサルタント
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