万が一の場合に備えておくことが必須
Eさんの場合、交通事故という予期せぬ不幸で突然の相続が発生したため仕方がない面もありますが、企業経営の安定を図るためにも、経営者は万が一の場合の事業承継について早めに備えておく必要があります。
経営者の急逝によって経営が混乱する例は多く、富裕層である経営者の多くが取り組むべき問題ですが、大企業ですら万が一の事態に備えられていないというのはよくあることなのです。
子どもが複数おり、そのうちの1人に事業を承継する予定の場合は、経営者の死亡による相続ではなく生前贈与による計画的な承継を行っておくのが一般的です。
国も中小企業の事業承継についてはこれからの日本の重要な課題として捉えており、さまざまな税制優遇制度が準備されています。専門家のアドバイスを受けながら、計画的に株価を抑えて承継する方法を準備しておきましょう。
企業経営者の保有する株式評価額は、小規模企業でも社歴が長いと数億円にのぼることも多く、何も対策をせずに贈与を行うと贈与税が莫大になってしまうほか、兄弟姉妹がいる場合は、後継者以外の相続人から特別受益を主張された際に対応が困難になります。
株式評価額を抑えるには特定期間の収益や配当を計画的に抑える方法が定石ですが、個人の相続と同様に借入を行って不動産を購入する方法も効果的です。
この生前贈与による事業承継のタイミングは各企業によって適切な時期が異なります。
予定どおりに進まない可能性も考えられますので、万全を期すためには不動産による株式評価の圧縮と遺言書の作成によるリスク回避を先んじて行っておくべきです。
非常に多くの資産を持つ富裕層や会社経営者は、その身に万が一のことがあった場合にはご家族間で相続争いが生じることもあります。
単なる資産の分配であればプライベートの問題で済みますが、会社経営に関わる争いは従業員や取引先にまで影響が発生する重大事項です。このため、個人での相続対策を考えるよりも優先して最低限の備えを開始しておくことが望ましいでしょう。
鈴木 子音
株式会社有栖川アセットコンサルティング
代表取締役
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