自身の相続対策はしたが妻の相続は考えていなかったCさん
Cさんは70代半ばで中小企業の元経営者です。現在の総資産額は20億円ほどで、すでに経営を引き継いだ長男には最終評価で10億円となる会社の株式を生前贈与で計画的に渡しています。Cさんには妻と長男のほかに子どもが2人おり、Cさん夫妻が亡くなった世代交代のタイミングでそれぞれの子どもにおよそ10億円ずつの資産を相続させられればと考えていました。
Cさんは、長男への事業承継と生前贈与では苦労しましたが、妻と子どもたちへの相続は簡単だろうと軽く考えていました。Cさんが世を去る際には、妻に自宅と現金を遺し、子どもたち2人には相続税が安くなるように5億円前後の不動産と多少の現金を引き継がせる準備をしました。
この結果、10年後にCさんが亡くなった際はスムーズに相続は進みました。長男は経営する会社に関連する資産以外は相続せず、妻は配偶者控除で無税、子ども2人の相続税もほどほどの金額で済みました。しかし、問題はその2年後に起こりました。Cさんよりも10歳年下だった妻ががんを発症、あっという間に亡くなってしまったのです。
Cさんは、資産運用が苦手な妻のために相続財産の大半を現金で遺していました。そのうえで、妻自身も相続を考える年齢になったら、子どもたちとよく相談しながら専門家と連携して対策を講じるようにと伝えていました。しかし、Cさんの死後まもなく急な病に倒れてしまった妻は、なんの対策を講じることなく急逝してしまったのです。
この結果、二次相続においてCさんの子どもたちの相続税はかなりの高額になってしまいました。妻の引き継いだ資産10億円の内訳は自宅と現金でしたが、子どもたちはすでにそれぞれ持ち家を保有していたため小規模宅地等の特例も適用されません。
しかも、長男は生前贈与からの約束があったので今回も相続を放棄しています。1人あたり約5億円の課税評価額となり、それぞれ約2億円の相続税を納めなければなりませんでした。Cさんが亡くなった際にはほぼ減ることのなかった資産が、その後たったの2年で4億円近く減ってしまうことになったのです。
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