熱があって、喉が痛い→「風邪かな…?」の思い込みはリスク。小さな異変を見逃さない、悪化させないための<症状に合わせた診療科受診>のすすめ【耳鼻科咽喉科医が解説】

熱があって、喉が痛い→「風邪かな…?」の思い込みはリスク。小さな異変を見逃さない、悪化させないための<症状に合わせた診療科受診>のすすめ【耳鼻科咽喉科医が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

インターネットやSNSの普及によって、私たちは日常的に膨大な情報に触れるようになりました。さまざまな情報が瞬時に手に入るようになった半面、不正確なものや誤解を招くようなものも混在しており、ユーザーには情報を選別するメディアリテラシーが求められます。特に医療分野は、誤った情報を掴むと取返しのつかない事態を招きかねません。本記事では、医師の小田切恵三郎氏による著書『真に受けると損をする 医療常識のうそ? ほんと?30』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、のどの痛みに関する情報の真偽について解説します。

口を開けただけで喉の異変は見つけられない?

口を開けたときに見えるのは、大部分は「口腔」と呼ばれる場所です。唇、歯、歯茎、頬の内側の粘膜、舌、のどちんこ(正確には口蓋垂と呼びます)、口の天井部分、それに口の奥の突き当り部分である中咽頭の一部です。この部分を見て簡単に予測できる病気は、虫歯や歯周病といった歯科にかかるような病気と、口腔内のできもの、見える範囲の炎症です。

 

このうち、内科医が「風邪」と判断するとしたら、のどちんこや中咽頭が赤く腫れている場合です。

 

「喉が腫れています。風邪ですね」

 

「喉には異変ありませんから問題ありません」

 

と、いずれかの診断になるわけです。

 

しかし、喉に違和感があるといっても、口を開けて見えている部分に異変が起きていることもありますが、上咽頭や下咽頭、扁へん桃とう腺せんに症状が現れることも多いです。ですから口を開けても見えない部分に異変がないかをチェックしなければなりません。

 

そのために耳鼻咽喉科では、必要に応じて喉や鼻にファイバースコープを挿入して確認を行います。私の場合は、初めての問診で、喉のどのあたりが痛いのかを尋ねます。

 

漠然と喉全体という回答をされる人もいますが、どこが痛いかで診断が違います。

喉のどこが痛いのか

喉の下のほうが痛いときは、嚥下困難、呼吸困難のリスクが出てくることがあります。ここは口を開けても見えません。頻度は多くないですが、急性喉頭蓋炎という、危険な疾患もあります。

 

扁桃腺(正式名称は扁桃です)は、喉の両脇にあります。口を開けて見えるほうに発赤や腫脹、白いものがついていて、見た目で診断が分かる場合もありますが、扁桃の内側の見えない側に炎症が起きているときは、首とか耳など、外側に症状が出ることもあります。

 

のどちんこの裏側が痛いときは、結構下のほうに痛みを感じることが多い印象です。ここも、口を開けてもまったく見えません。喉がとても痛くて飲み込みにくい。そういう割には口の中がなんともないなと思ってファイバーで見たら、喉のいちばん上に白い膿(白はく苔たいといいます)がべったりついていることもありました。かと思えば、ひょうひょうとしているのに、見てみてビックリ、すんごい白苔、なんて人もいたことがあります。こういう場合は抗生剤が効きます。

 

また、これらの疾患では高率で熱も出ます。発熱外来に行っても分かってもらえないかもしれません。

 

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※本連載は、小田切恵三郎氏による著書『真に受けると損をする 医療常識のうそ? ほんと?30』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋・再編集したものです

真に受けると損をする 医療常識のうそ? ほんと?30

真に受けると損をする 医療常識のうそ? ほんと?30

小田切 恵三郎

幻冬舎メディアコンサルティング

インターネットやSNSの普及によって、私たちの日常には膨大な情報があふれかえるようになりました。さまざまな情報が瞬時に手に入るようになった半面、その中には不正確なものや誤解を招くようなものも含まれています。著者に…

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