相続争いを防ぐために「公正証書遺言」を作成しておくべきワケ
4. 家族会議を開き、公正証書遺言を作成する
相続争いを防ぐためには、家族会議を開き、相続発生前に関係者全員が、財産目録の作成、相続税の試算と納税資金の確保策の策定及び遺産分割方法の検討をしておくべきです。
もっとも、検討しただけでは、十分とはいえません。それを形として残しておく必要があり、被相続人となる方には生前のうちに家族会議で検討した内容を遺言していただくのがベストです。
自筆証書遺言では、形式不備や内容不備により家族間で検討した内容に基づいた遺言ができないといったリスクが発生しかねません。また、被相続人となる方の年齢や認知能力いかんによっては遺言能力自体も争われるかもしれません。
そのため、遺言書を作成する場合には公正証書遺言の作成が必須かと思われます。
【今回の相談者のケースに当てはめた場合】
相談者の状況を整理すると、以下の通りかと思われます。
- 現在、父と同居しており、実家に住み続けたい希望がある
- 兄妹との公平な遺産分割を実現したい
- 相続税の負担を軽減したい
相談者の意向を反映した具体的な対応策を検討するのであれば以下の準備を進めていくのがよいかと思われます。
- 財産目録を作成し、不動産の評価額を算出する
- 相続税の試算を行い、生命保険の活用を検討する
- 代償分割または換価分割を想定し、兄妹と事前に話し合う
- 家族会議を開き、相続後の住居問題を整理する
- 「実家を相談者が相続する」場合 → 代償分割のための資金準備が必要
- 「実家を売却する」場合 → 換価分割の方針を兄妹と調整する
5. 家族会議で決まった内容に基づき父に公正証書遺言を作成してもらう(実家の相続方法を明記)
このような準備を進めることで、相続争いを防ぎ、円満な相続手続を進めることが可能となります。
地主の相続は、計画的な準備と遺言の活用がカギ
地主の相続では、遺産分割や相続税の納税に伴う問題が生じやすいため、早めの準備が不可欠です。
これらを実行することで、兄妹間の争いを防ぎ、円滑な相続手続を進めることが可能です。弁護士や税理士と相談しながら、今すぐ準備を始めましょう。
板橋 晃平
弁護士
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