(※写真はイメージです/PIXTA)

昨今、再びビットコインをはじめとした「仮想通貨」に注目が集まっています。2024年12月時点で1ビットコインの金額は10万ドルを超えました。これは2023年末と比較するとおよそ2倍の価値です。たった1年弱で2倍に膨れ上がった資産に不安を覚える人も多いでしょう。本記事では、Aさんの事例とともに仮想通貨を売却する際の注意点をFPの牧元拓也氏が解説します。

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仮想通貨の利益は「雑所得」扱い

仮想通貨取引による所得に関する課税の基本と注意点について解説します。日本では、仮想通貨取引で得た利益は原則として『雑所得』に分類され、総合課税の対象となります。そのため、給与などのほかの所得と合計して所得税を算出します。

 

所得税率は課税所得金額に応じて最大45%であり、住民税を加えると最大55%です。年間の利益が一定額を超える場合、毎年年末調整をされている会社員の人であっても確定申告が必要となります。次のような場合、仮想通貨の利益についても確定申告が必要です。

 

1.給与所得者の場合は給与以外の所得が年間20万円を超える場合。

2.自営業者や無職の場合は基礎控除額(48万円)を超える場合。

 

また、複数の仮想通貨取引所を利用している場合は各取引所の損益を合算する必要があります。

 

サラリーマンが仮想通貨で利益を得ると…税負担どれくらい増えるのか?

会社員の人が仮想通貨によって利益を得たケースでは、どれくらい税負担が増えるのでしょうか。Aさんのケースで考えていきます。

 

Aさんの年収は約900万円です。会社からもらう給与に対して、基礎控除などを差し引いた課税所得金額が600万円。この場合の所得税の税率は20%です。仮想通貨を500万円で購入し、2倍の1,000万円の価格で売却した場合の利益は500万円となります。

 

実際の雑所得の計算では、取引にかかる費用等を控除します。仮想通貨による課税所得金額が500万円、給与所得による課税所得金額が400万円で合計900万円であった場合、所得税の税率は33%が適用されます。

 

「いきなりすべて売却するのは税負担が重すぎる。課税されずに売却するにはどうすればいいのだろうか」Aさんは課税額の重さに恐ろしさを感じました。

 

※著者作成
[図表]所得税の税率 ※出所:国税庁「No.2260 所得税の税率」

 

ちなみに、株式や投資信託などといった金融商品の売買から得た利益は譲渡所得として分離課税の対象となります。そのためほかの所得とは合算されず、15%(住民税と復興特別所得税をあわせると20.315%)が利益金額にかかわらず適用されます。

 

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