お父さん、よく訴えられなかったね…〈年金月30万円〉で悠々自適の生活を送るはずだった76歳・元大手企業勤務の夫…罵倒されても寄り添い続けた妻が〈熟年離婚〉を決意した「娘のひと言」【CFPの助言】

お父さん、よく訴えられなかったね…〈年金月30万円〉で悠々自適の生活を送るはずだった76歳・元大手企業勤務の夫…罵倒されても寄り添い続けた妻が〈熟年離婚〉を決意した「娘のひと言」【CFPの助言】
(※写真はイメージです/PIXTA)

静男さん(76歳)は定年後夫婦2人で生活していました。しかし、定年後の静男さんの態度が最終的に離婚を招く結果になってしまったのです。今回は、CFPなどの資格を持つトータルマネーコンサルタントの新井智美さんが、熟年離婚の一例とそうならないための注意点について解説します。

妻の入院をきっかけに最悪な事態が勃発

あるとき、靖子さんは持病の腰痛が悪化し、しばらく入院することになりました。手術後のリハビリもあり、入院期間は4ヵ月にも及んだそうです。

 

緊急入院だったため入院前の準備もできず、静男さんは家のこと一切を自分でやらなければならなくなってしまいました。しかし、これまで家事はすべて靖子さんに任せていたため、何をするにもどこに何があるのかさっぱりわかりません。

 

そのため、わからないことがあるとその都度靖子さんの携帯にLINEで問い合わせ、確認する事態に。しかし、靖子さんはLINEに慣れておらず、的確に伝えることができません。やり取りをするうちに静男さんがヒートアップし、電話口で怒鳴られることもあったそうです。

 

仕方なく、靖子さんは結婚している娘に一時的に帰ってきてもらい、静男さんの世話をしてくれないかとお願いしました。しかし、娘も子どもの受験を控えておりあまり長くは滞在できません。そのため、娘は最低限、静男さんが生活できるように家のなかを整えて帰ることになりました。

 

それだけでもありがたいと思っていた靖子さんですが、ある日、静男さんから届いたLINEを見てびっくりしました。LINEの内容は「俺の誕生日にも家にいないなんてどういうことだ!」という怒りの文句でした。さらに、家事代行サービスや食事の調達費用にお金がかかることなど文句がずらずらと並べられていたのです。

 

静男さんとしては寂しかったのでしょう。しかし、そういった言い方しかできなかったのです。

 

靖子さんはそのときは「すみませんでした。」と謝ったものの、夫に対する敬意が一気に失せてしまいました。

 

そして靖子さんの退院後、程なくして離婚話を切り出したのです。実は娘も一時的に帰ってきた際に父親である静男さんの態度に怒りを感じていました。そして、密かに「お母さん、もう我慢せずに離婚したらいいよ。一緒に暮らそう。お父さん、完全にモラハラだしヤバいよ……。よく部下からパワハラで訴えられなかったね。」と言ってくれたのです。病気で入院している母に対する態度が人として許せなかったからです。

 

娘からのひと言が靖子さんの背中を押し、靖子さんは離婚を決意。静男さんは離婚話を切り出されたときも激昂し、好きにしろと言い放ちました。靖子さんは未練なく離婚し、娘一家と暮らすことにしたのです。もちろん財産分与を行うことも忘れてはいませんでした。

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