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夫の秘密と妻が仕掛けたワナ
さらに、由紀さんは立野さんが浮気をしていた証拠写真を突き付けます。
由紀さんは立野さんの秘密を握っていました。30代で転勤が決まった立野さんは、子どもの私立中学入学のタイミングだったこともあり、単身赴任になりました。立野さんは単身赴任をきっかけに浮気をするようになり、本社に戻ってからも妻にバレないよう出張先での浮気を続けていたのです。
それに気が付いていた由紀さんは、探偵を雇いその証拠を5年にわたって集め、記録してきたのです。妻には気が付かれていないと思っていた立野さんにとって、言葉にならないほどの驚きでした。
由紀さんの要求は、立野さんの資産の半分と、厚生年金部分の半分を渡すこと。到底納得できずに怒った立野さんでしたが、由紀さんは浮気の相手側にも全員コンタクトを取り、慰謝料を要求しない代わりに証拠としてLINEやメールでのやりとりをすべて見せるように伝え、離婚の準備を進めてきました。
「この年になってもいまだに自分の出た大学がどこだとか言っているあなたのことが恥ずかしい。浮気相手がいて、自分はモテるとでも勘違いしているようで恥ずかしい。あなたのような中身のない人間とこれ以上一緒にいることはできません」
調停・審判の場で浮気相手とのやりとりを公開されることを恐れた立野さんは、由紀さんの要求を飲むことに。退職金も合わせてこれまで築いた資産5,000万円のうち2,000万円を支払います。また、もともと二人の年金額はそれぞれにわけると、立野さんが月額20万円程度、由紀さんが6万円程度です。厚生年金の半額の年間30万円分に加え、慰謝料500万円を支払うことを認めました。
離婚時の財産分与
離婚時には、結婚後に夫婦で築き上げてきた財産をわけることになります。この際、夫婦それぞれが財産の形成にどれだけ貢献したかが考慮されますが、多くの場合、財産は半分ずつにわけられます。また、婚姻期間中に保険料を支払った分の厚生年金についても、分与の対象となるため、半分を配偶者に渡さなければなりません。これにより、資産が豊富にあると思っていても半分になり、厚生年金も半分に減るため、老後の生活設計が崩れてしまうことがよくあります。
そして、原因がモラハラや不倫となれば慰謝料も支払う必要がでてきます。
また、今回早期に離婚協議に決着がついたのは、由紀さんが感情的にならずに夫の浮気相手にコンタクトを取り、全員からLINEやメールの記録を集めていたことにあるでしょう。潔癖症とも思えるほどの立野さんですから、自分の浮気相手とのやりとりを他人に読まれることなど屈辱の極みであり、長期間協議を続けるよりも早期に納得したほうがよいと判断したためでした。
本来でしたらゆとりのある老後を送ることができたはずが、離婚のために資産を失ってしまい、心もとない老後を送ることになったのです。

